コーヒー&シガレッツ [DVD]コーヒー&シガレッツ [DVD]
◆プチレビュー◆
まさに“おしゃれな映画”と形容したい。11編の中では「カリフォルニアのどこかで」と「いとこ同士」がお気に入り。

11本のオムニバス作品の共通のテーマは、タバコとコーヒー(時には紅茶)とさりげないおしゃべり。どこか居心地悪そうなロベルトとスティーブン。双子は変な店員に付きまとわれる。禁煙を破る勝手な説を唱えるイギーとトム。「問題なし」の押し問答や、ヘンテコな共鳴体の実験、カフェでバイト中のビル・マーレイ…。クセがあって、どこかかみ合わない会話が、多くの男女によってカフェで淡々と繰り返される。

モノクロ映像でつづる11編は“物語”と呼ぶのもためらわれるような、何気ないひとこまだ。特にオチがあるわけでもなく、教訓めいた含みがあるわけでもない。だが、これがオムニバスの名手のジム・ジャームッシュの手にかかると、何ともイイ感じにまとまってしまうから不思議。まったり、ゆったり、リラックス。カフェインとニコチン並みに、病みつきになる。

日本公開は05年だが、これらの作品はジャームッシュが18年かけて少しずつ撮り貯めていたもの。サイド・ワークとしてコツコツと築いてきた愛しい作品たちだ。中には世界の有名映画祭での受賞作もあり、短いながらにジャームッシュの美意識と実力が反映されている。ケイト・ブランシェットやアルフレッド・モリーナなど、出演俳優も豪華で、その俳優たちのほとんどが本人の役をやっているのが妙に笑える。

無関係なようでいて、11本がちょっとずつ係わりをもっていることや、過去の作品にも目配せしていることに、ファンならきっと気付くだろう。明確なストーリーらしきものがないので、時には退屈するかも。だが、このグルーヴ感がジャームッシュ独特の空気なのだ。人に勧めるのは難しい。でも自分さえこの映画の素晴らしさを堪能できればそれでいい。そんな身勝手な気持ちになるほど、最高に気に入っている。

□2004年 アメリカ映画  原題「Coffee & Cigarettes」
□監督:ジム・ジャームッシュ
□出演:ロベルト・ベニーニ、ケイト・ブランシェット、ビル・マーレイ、他

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