亀も空を飛ぶ [DVD]亀も空を飛ぶ [DVD]
◆プチレビュー◆
悲惨な中にもうっすらと漂うユーモアがこの監督の作品の魅力。怪しげな英語で大人たちからも頼りにされる主人公が、適当に訳すニュースが笑える。

2003年。イラク北部のクルディスタン村に住む孤児のサテライトは、村の子供たちを集めてアルバイトの元締めをやっている。ある日、村に、赤ん坊を連れた少女アグリンが、両腕がない兄ヘンゴウとともにやってくる。サテライトは彼女に一目惚れするが、アグリンは心を閉ざしていた…。

腕や足のない子供、目が見えない子供がなんと大勢登場するのか。これがイラン・イラク国境地域の真実の姿なのだ。なぜなら、主人公サテライトと仲間たちのアルバイトとは、村に埋められた地雷を除去して売るという極めて危険なもの。アメリカびいきの彼は米国製の地雷にこだわっているが、そんな問題ではないだろうといいたくなる。だが、命がけの作業で得る僅かな代金は、彼等の貴重な現金収入なのだ。

村にやってきた難民兄妹に惹かれるサテライト。兄には予知能力があるという設定がマジカルだが、中東には「孤児は預言者だ」という考え方があるらしい。しかし、彼の見る未来は、あまりにもつらいものばかりだ。どうしても超えられない悲しみを経験してしまった難民兄妹の姿が、目にやきついて離れない。

汚れた文化といいつつ情報は米国に頼るしかない。さらに、戦争を終わらせるためには大国の力が頼りだが、米国の介入に希望がないことも、彼らは知っている。まさに悲劇だ。自身もクルド人であるゴバディ監督は、いつも弱者に視線を向けて映画を作る。戦争の被害者はいつだって子供たち。それでもくったくなく、たくましさを感じる彼らの姿が、物語の唯一の希望だ。

□2004年 イラン・イラク合作映画 英語原題「Turtles can fly」
□監督:バフマン・ゴバディ
□出演:ソラン・エブラヒム、ヒラシュ・ファシル・ラーマン、アワズ・ラティフ、他

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