かもめ食堂 [DVD]かもめ食堂 [DVD]
◆プチレビュー◆
邦画初のオール・フィンランドロケが話題。確かに日本が舞台だと、この空気感は出せないだろう。「コーヒーは人に入れてもらった方がおいしいんだよ」のセリフが名言だ。

ヘルシンキの街角にある日本食を出す店、かもめ食堂。オーナーのサチエはマイ・ペースで一向に客が来なくても気にする様子でもない。そんな彼女の店に、観光客のミドリとマサコがやってきたことから、食堂とサチエの日常に変化が表れた…。

何の説明もなく、何の事件も起こらない映画。だが見ていてこんなに気持ちがなごむ作品も久しぶりだ。おにぎり、網で焼いたサケ、シナモン・ロールと、出てくる食べ物がどれもおいしそうで、思わずおなかがすいてしまう。個人的な基準だが、私は食べるものをきちんと描いている映画については信用することにしている。

サチエがなぜ異国で食堂をやっているのか、二人の日本人女性は何があってフィンランドにやってきたのかという説明はほとんどないが、彼女たちが日本で“何か”を切り捨ててこの場所にやってきたことは伝わってくる。映画は過去に目を向けず、だからといって輝かしい未来を夢見たりもせず、今日と明日の日常を淡々と誠実に描いている。このことが映画全体に漂う端整なたたずまいとなって好感を誘うのだ。

大柄なおばさんが見つめるウィンドウ。ガッチャマンの歌。突然渡されたネコ。エピソードはひとつひとつが味がある。中でもトランクを開けるとそこに満杯のキノコがある場面はすごい。そうか、この映画はファンタジーなんだとここで気付く仕掛けなのだ。忙しい日常から少し離れて、気持ちがいいカフェでのんびりくつろぐような、そんな気持ちで。それがこの映画の正しい鑑賞方法だ。

□2005年 日本映画
□監督:荻上直子
□出演:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、マルック・ペルトラ、他

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