マンダレイ デラックス版 [DVD]マンダレイ デラックス版 [DVD]
◆プチレビュー◆
ブライス・ダラス・ハワードは体当たりの演技で熱演だが、やはりニコールのカリスマ性には負けている。

ドッグヴィルの町を焼き払ったグレースは、アメリカ南部の農場マンダレイにたどり着く。そこでは70年も前に廃止されたはずの奴隷制度が残り、黒人たちは白人に支配されていた。義憤に燃えたグレースは、父の制止を振り切って農場に留まり、黒人を強引に解放して改革を始める…。

床に描かれた線と場所を表す白い文字。舞台のような設定は前作「ドッグヴィル」と同じだ。初めてこのセットを見たときの驚きはもうないが、その分これから起こる異様な出来事を予見して胸が高鳴る。前作は町の閉鎖性がテーマだが今回は人種問題。だが、そこは鬼才トリアー監督。ただの人種差別ではなく、裏側に強烈な毒を塗る。

正義に燃えて一方的に他人の土地に居座り、改革を始める若く美しいグレース。彼女は自分の行いを善だと信じて疑わない。この姿を見て、誰もがアメリカとブッシュ政権を思い浮かべるだろう。「ドッグヴィル」に比べてより強くはっきりと米国の国際政治を批判する演出だ。マンダレイの秘密が明らかになったとき、一人よがりの善行は完膚なきまでに叩き潰される。

理想主義という名の一方的な力の行使。ラース・フォン・トリアー監督は偽善に対して、徹底的に反旗を掲げた。決して心地良さが残る映画とは言えないが、この人の作品には抗しがたい魅力がある。それは確固たる自分の映画スタイルを持つ自信からくるメッセージ性だ。最終章「ワシントン」が実に楽しみになった。

□2005年 デンマーク映画  原題「MANDERLAY」
□監督:ラース・フォン・トリアー
□出演:ブライス・ダラス・ハワード、ウィレム・デフォー、ローレン・バコール、他

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