ククーシュカ ラップランドの妖精 [DVD]ククーシュカ ラップランドの妖精 [DVD]
◆プチレビュー◆
強国に支配され続けた歴史を持つフィンランドのことを知りたくなった。ロシア語のパショルティ(くそったれ)という言葉を名前と間違えてそう呼び続けるのが笑える。副題は「ラップランドの妖精」。ラップランドはサンタクロースの故郷だ。

ロシアとフィンランドが敵対関係にあった、第二次世界大戦末期。フィンランドの北部ラップランドに二人の兵士が命を落としかけてたどり着く。互いに敵同士なのだがフィンランド語とロシア語で言葉が通じない。さらに二人を助けた未亡人のアンニはサーミ語しか話せない。全く言葉が通じない3人の、ユーモラスで不思議な暮らしが始まった…。

決して声高にではないが、静かに力強く平和への願いを訴える作品だ。美しい自然描写の中、登場人物のキャラは立っているし、物語は素朴ながら鋭い。ロシア映画のこの小品は、まさに掘り出し物。タイトルのククーシュカとは、ロシア語でカッコーのこと。また狙撃兵という意味もある。

サーミ人の未亡人アンニは、大らかで官能的な不思議な魅力を持つヒロイン。彼女にとって二人の兵士は敵でも味方でもなく、ただの二人の「男」なのだ。この女性の前では争う必要など何もない。フィンランド人のヴェイッコは平和主義者で戦争などまっぴら。ロシア軍のイワンは反体制的な通信文を書いたとの濡れ衣を着せられ、軍や国家にうんざりしている。アンニは元から自然の一部のような人間だ。こんな3人が一緒に暮らすうちに連帯感が生まれるが、戦争はそれさえも打ち砕こうとする。

フィンランドといえばムーミンやサウナ。基本的に地味な印象の国だ。映画的にはやはりアキ・カウリスマキか。この頃日本にもさまざまな形でフィンランドの情報が入ってきている。後半のシャーマニズム的展開は、サーミ人独特の死生観で物語の展開としても絶妙。その儀式が終わるとき、戦争もまた終わりを告げ、感動的なラストを迎える。人間同士が言葉を越えて深いレベルで理解できることを証明する映画だ。

□2002年 ロシア映画 原題「Kukushka」
□監督:アレクサンドル・ロゴシュキン
□出演:クリスティーナ・ユーソ、ヴィッレ・ハーパサロ、ヴィクトル・ヴィチコフ、他

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