ぼくを葬る [DVD]ぼくを葬る [DVD]
◆プチレビュー◆
きりっと短い81分。ダラダラと長い映画が多い昨今、この潔さがイイ。主人公が身に付ける服がどれも何気なくしゃれている。メルヴィル・プポーはエリック・ロメール監督の「夏物語」の頃から随分大人になったことよ。

若く美しい青年カメラマンのロマンは、突然、余命3ヶ月と宣告される。家族や同性愛の恋人、友人にも言えないまま、彼は日常生活のさまざまなものをデジカメで撮影し始める。治療も拒み、悩むロマンだったが、ただ一人祖母にだけには病気のことを告げ、素直に涙を流すのだった…。

韓流でお馴染みの難病もの。若い命を奪われる悲劇は万国共通だろうが、仏映画界の若き巨匠F.オゾンが描くと、このように美しくも崇高になる。残された日々をどう過ごすか。愛するものへの別れや、提案される「生きた証」も、オゾンのテイスト満載だ。いたずらに涙を誘うことなどせず、静かに主人公のそばに寄り添いたくなる演出なのだ。

残り僅かな命であることを祖母だけに告げたとき「なぜ私に?」と問われて「おばあちゃんは僕と同じだ。もうすぐ死ぬ」と答える場面が印象深い。祖母を演じるのはジャンヌ・モロー。さすがの貫禄で、悲しみをこらえた深い表情がすばらしい。

主人公のロマンはオゾン作品好みの美青年だが、最初はかなりイヤなヤツだ。映画で一般的に描かれるゲイは心優しい場合が多いが、この人は美しくも気高い人種。そんな主人公にオゾンはまるで罰のように若くして逝く運命を与える。だがロマンが彼なりの方法で全ての人に別れを告げたとき、オゾン映画の象徴である海が彼を優しく包んでくれるのだ。タイトルは「葬(ほうむ)る」と書いて「葬(おく)る」と読ませる。ちょっと洒落ている。

□2005年 フランス映画 原題「Le temps qui reste」
□監督:フランソワ・オゾン
□出演:メルヴィル・プポー、ジャンヌ・モロー、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、他

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