メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 スペシャル・エディション [DVD]メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 スペシャル・エディション [DVD]
◆プチレビュー◆
ラストの決着のつけ方など、ハリウッドらしからぬ渋い演出で、トミー親父の今後の監督作に大いに期待だ。メルの死体に塩をヌリヌリする様子など、トボけた笑いを誘う場面が多い。

メキシコ人密入国者のカウボーイ、メルキアデスは、突然、放牧場で銃弾に倒れ息絶える。事件はうやむやにされ遺体は埋葬されたが、米国人の親友のピートは犯人の国境警備員マイクを拉致し、遺体を掘り起こさせ強引に旅に出る。ピートは生前、メルキアデスから頼まれていた。「俺が死んだら故郷のヒメネスに埋めてくれ」と…。

ロード・ムービーにおいて出発点や目的地は大きな問題ではない。旅のプロセスとその旅で訪れる変化こそが目的だ。そこにはたいてい道連れがいるが、この映画のピートには生きている人間と死んだ人間の2人の“相棒”がいる。ピートの中では、生と死の境界線は限りなくあいまいだ。彼の目的は、死んだ親友メルキアデスを故郷に埋葬すること。メルキアデスは合計3度埋められることになる。

ヒメネスを目指す途中に出会う盲目の老人のエピソードが忘れ難い。一人取り残された彼に「何か出来ることは?」と尋ねるピート。老人は「どうか殺してくれ」と頼むが、ピートは丁寧にその願いを断る。追ってきた警備隊に老人は、逃亡者など見ていないと告げるが、その見えない目はピートらの旅の無事を祈っていた。

移民の国アメリカ。特にメキシコからは多くの人々が富を求めてアメリカへと移動する。逆にテキサスからメキシコへと境界を越える目的のほとんどが逃亡だ。だが、メルキアデスとピートの目的は帰郷。強い思いの向こう側に初めて見える真実がある。「国境」がこの映画の大きな鍵だ。国を隔てるその線は、いつしか人と人の間にも壁を作り差別を生む。実際には線など存在しないというのに。無気力なマイクは旅を通して自分を知った。そして、たどり着いたその場所の意味は、形には見えなかった。男の約束を果たすピートの後姿が思わず泣ける。

□2005年 アメリカ・フランス合作映画 原題「The Three Murials of MELQUIADES ESTRADA」
□監督:トミー・リー・ジョーンズ
□出演:トミー・リー・ジョーンズ、バリー・ペッパー、フリオ・セサール・ディリージョ、他

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