ダーウィンの悪夢 デラックス版 [DVD]ダーウィンの悪夢 デラックス版 [DVD]
◆プチレビュー◆
世界中の映画祭で賞を取りまくった話題作。一匹の魚から「風が吹けば桶屋が儲かる」チックに展開する悪夢の連鎖に絶句。食卓の白身魚を見る目が変わりそう。 【90点】

アフリカ、タンザニアのビクトリア湖に生息する巨大な肉食魚ナイルバーチ。もともとは外来種のこの魚が、湖の生態系を激変させ、周囲の町の生活を変えていった。この魚の最大の輸出先はEU、そして日本。ダーウィンの箱庭と呼ばれたビクトリア湖周辺では、一大魚産業で富を生む一方で、沢山の“良くないコト”も発生してしまう…。

日常生活の中で「知らない間に人を傷つけてしまう」ということがある。ゴメンナサイで済むレベルのことと、そうでないこと。この驚愕の記録映画で描かれるのは、明らかに後者だが、私たちは、他者ばかりか自分自身さえも追い詰めているのではなかろうか。映画は、弱肉強食の自然から、人間の格差社会へと導いていく。富や美食という目先の利点だけを考えた結果は、環境と社会の同時破壊だったという恐ろしい例だ。しかもそれは無意識に行われ、しっかり構造化している。

産業が生まれ、魚加工の工場主を潤した。その一方で富に群がり人々が集まれば、そこに格差が生まれるのは必須。売春、アル中、エイズ、ドラッグ、ストリートチルドレン。ほとんど芋づる式の悪夢である。金になるからと、戦争を望む者も。魚を運ぶ飛行機で武器まで行き来する始末だ。ナイルバーチを食することで、私たちもこの輪の中に組み込まれ、図らずも悪事に荷担してしまっている。これがダーウィンの言う適者生存の進化論ならば、世界の秩序はもはや破壊的だ。

映画は、善悪や、今何をすべきかは語っていない。無論、エコライフなどという綺麗事とは無縁だ。だが、欧米や日本は、アフリカをゆっくりと確実に“殺しながら”肥え太っていることを、観客ははっきりと知ってしまう。果たして未来はどうなるのか。先進国は、このツケをいつか必ず払うことになるだろう。この映画を見れば、もう、知らなかったではすまされないのだから。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)戦慄度:★★★★★

□2004年 フランス・オーストリア・ベルギー合作映画
□原題「Darwin's Nightmare」
□監督:フーベルト・ザウパー

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