パフューム スタンダード・エディション [DVD]パフューム スタンダード・エディション [DVD]
◆プチレビュー◆
天才調香師が作った究極の香水に唖然。目には見えない“香り”をすばらしい技術で映像化する。物語は奇想天外で、一種のファンタジーだ。 【65点】

18世紀のフランス。天才的な嗅覚を持ち、加えて自らには体臭がない孤独な青年グルヌイユは、街で見かけた少女の香りに魅了される。人間から匂いを抽出する方法で同じ香りを作ろうと、彼は次々に若い女性の命を殺めるが…。

究極の香りを作るために起こす殺人。観客には、犯人とその動機は分かっている。残る興味は、この物語にどう決着をつけるのか。そのプロセスで最も重要なのは、殺人事件の発端である「香り」を映像化する方法だ。

目に見えない香りを表現するのに使ったのは、映像美と潜在意識と音。まず映像のデフォルメがすごい。渋く強調した色彩と明暗で描き、細部まで作り込んだ高密度の映像が観客の脳内に叩き込まれる。魚市場の悪臭、赤毛の少女の芳香、紫に染まるラベンダー畑。これらに、ベルリン・フィル・ハーモニー管弦楽団の最高の演奏がかぶれば、香りはスクリーンから文字通り立ち昇る。潜在意識に香りが注入されたら、物語の虜になるのは時間の問題だ。

驚異的なビジュアルは、時には笑いさえ誘いながら終盤に向けてエスカレート、殺人罪で捕まったグルヌイユの処刑場で頂点へ。大群集による異様な大乱交シーンは、綿密に計算された振付けによるものだ。ありえない!なぜこうなるの?でもスゴイ!金縛り状態で、目が離せない。

一見、天才調香師の成功物語のように始まり、予想もしない軌道を描くこの作品には、常識の枠を越えた独創性がてんこもりだ。主人公は矛盾した救世主で、人々を愛で酔わせ、自らも愛に収束したと考えれば、納得がいく。映画「ツィゴイネルワイゼン」の中で“桃は腐りかけが一番美味しい”と言うセリフがあるが、この物語はまさにそれ。境界線ギリギリの位置に立つ映画だ。踏み外せばキワモノだが、すんでのところでアートになっている。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ユニーク度:★★★★☆

□2006年 ドイツ映画 原題「Perfume - The story of a murderer -」
□監督:トム・ティクヴァ
□出演:ベン・ウィショー、ダスティン・ホフマン、アラン・リックマン、他

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