ラストキング・オブ・スコットランド (特別編) [DVD]ラストキング・オブ・スコットランド (特別編) [DVD]
◆プチレビュー◆
狂った独裁者イディ・アミンをフォレスト・ウィテカーが熱演。オスカー獲得も納得の、なりきりぶりが見事。 【70点】

スコットランドからウガンダにやってきた青年医師ニコラスは、偶然、怪我の治療をした大統領アミンと知り合い、彼の主治医兼相談役になる。当初は国民から熱狂的に支持されていたアミンだが、クーデターへの妄想から周囲を信じられなくなり、次第に狂気へ駆られていく…。

ニコラスとアミンが初めて出会う場面が、全てを示唆する。交通事故に遭った牛を見て“欧米人”のニコラスは瀕死で苦しむ姿を見ていられず、いきなり銃で牛を撃ち殺す。その衝撃的で高圧的な行為、しかもそれを行う当人は善意というスタンスこそ欧米そのものだ。英国からの支援で権力を手にしたアミンは、欧米流の決着の付け方に魅入られる。楽にしてやるためではなく、不要になった玩具を壊す方法を見つけてしまったのだ。

ニコラスというキャラクターは、アフリカに独裁者を生み、脆弱な国家を食い物にして利を肥やす先進諸国を体現する人物だ。主治医という地位に付随する贅沢三昧の暮らしや大統領の第2夫人との不倫。誰が見てもマズい事態だが、罪を犯すのがほとんど無意識というのがタチが悪い。すべての根底には、欧米のごう慢と甘えがある。その代償は大きかった。映画は血まみれのニコラスにそれを背負わせる。

終盤、ウガンダから決死の脱出を図るニコラスに、ハイジャック・テロという絶好の切り札が舞い込むが、歴史とリンクしたこの脱出劇の緊張感がすごい。恐怖政治、ハイジャック、脱出劇がぴったりと重なる怒涛の構成は、ドキュメンタリー出身のマクドナルド監督の実力が垣間見える瞬間だ。薄気味悪いほどアミンに似たフォレスト・ウィテカーを抜擢する一方で、アミンの側近の複数の実在した人物から、ニコラスというオリジナル・キャラクターを作り上げ、彼の目を通して物語を語る演出の上手さ。虚実を絶妙に織り交ぜた構成のバランスが、映画を一級の政治サスペンスにしている。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)なりきり度:★★★★★

□2006年 アメリカ映画 原題「THE LAST KING OF SCOTLAND」
□監督:ケヴィン・マクドナルド
□出演:フォレスト・ウィテカー、ジェームズ・マカヴォイ、ケリー・ワシントン、他

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