パリ、ジュテーム プレミアム・エディションパリ、ジュテーム プレミアム・エディション
◆プチレビュー◆
風変わりなパリ案内の趣のオムニバス映画。地元仏人監督の作品と、そうでない監督の作風の違いが面白い。 【50点】

舞台はパリ。時間は5分。共通するのはそれだけだ。フランス、アメリカ、ドイツ、日本、ブラジルなど、国籍も年齢も違う、だが才能溢れる18人の監督たちが、パリの街を舞台にして物語るオムニバス映画である。

パリのそれぞれ別の地区を割り当てられた監督たちは、いわゆる観光スポットではなく、普段着の姿が見える風景を選び、物語を紡いだ。コメディ、ホラー、人間ドラマと作風は多様。パリの街には恋がよく似合うが、恋愛物語の中にも移民や人種問題を盛り込み、なかなか意欲的である。パリを熟知する人には、地区の特性と物語の関連性に気付くだろう。残念だったのは5分という時間があまりにも短いこと。この長さで心に残る物語を作るのは、いくら才人の監督たちでも難しかったようで、出来にはバラツキがある。

仏人監督が作る内側から見たパリにはリアリティがあるが、私たち“外国人”にとっては、外側から見たパリの物語に、より親しみやすさを感じるはず。とぼけた観光客を演じるスティーブ・ブシェミや、墓地でオスカー・ワイルドに出合う英国人カップルの物語が記憶に残る。盲目の青年との恋を描くナタリー・ポートマンのエピソードも良かった。日本からは、欧州で評価が高い諏訪敦彦監督が参加。幼い息子を亡くして嘆く母親が、カウボーイ姿の死神と出会う物語だが、これが実に出来がいい。ジュリエット・ビノシュとウィレム・デフォーというスター俳優を使い、短いながら胸に染みるドラマを作っていて、日本人としてちょっぴり誇らしい気持ちだ。

監督や出演者たちの名前を見るだけで、映画ファンならワクワクしてしまうに違いない。映画というより、おしゃれな写真展のようなイメージだが、それで構わない作品だとも思う。観客は映画の良し悪しの評価より、好みを先行させてこの作品を味わうだろう。パリへの愛情がたっぷりつまったこの映画には、そんな見方がふさわしい。伝統と革新が仲良く同居し、絵になる風景には事欠かないパリ。見終われば、きっと自分だけの19番目の物語を語りたくなる。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)バラエティ度:★★★★☆

□2006年 フランス・ドイツ合作映画 
□原題「Paris, je t'aime」
□監督:ブリュノ・ポダリデス、グリンダ・チャーダ、ガス・ヴァン・サント、ジョエルandイーサン・コーエン、ウォルター・サレス、ダニエラ・トマス、クリストファー・ドイル、イザベル・コイシェ、諏訪敦彦、シルヴァン・ショメ、アルフォンソ・キュアロン、オリヴィエ・アサイヤス、オリヴァー・シュミッツ、リチャード・ラグラヴェネーズ、ヴィンチェンゾ・ナタリ、ウェス・クレイヴン、トム・ティクヴァ、フレデリック・オービュルタン、ジェラール・ドパルデュー、アレクサンダー・ペイン 
□出演:ギャスパー・ウリエル、スティーヴ・ブシェミ、ナタリー・ポートマン、他

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