あしたの私のつくり方 [DVD]あしたの私のつくり方 [DVD]
◆プチレビュー◆
思春期の女の子という生き物は、ほんとに“苦労”が多いのだ。あの頃を思い出す大人が見ると、胸がキュンとなる青春映画である。 【85点】

高校生の寿梨(ジュリ)は学校でも家庭でも周りに気を使い、目立たないように暮らしている。彼女はある日、小学校の同級生で、イジメにあっていた日南子(カナコ)に、突如、匿名でメールを打つことを思い立つ。今は遠くに引っ越した日南子宛てのそのメールには「ヒナとコトリの物語」と題したストーリーがつづられていた…。

静かだが独特の感性で多くのファンを持つ市川準監督。1948年生まれのこの名匠が、ティーンエイジャーの少女たちの心の揺れをこんなにもみずみずしく描いてくれることにまず驚く。誰もが通過してきた甘ずっぱくもビミョーな思春期の世界へと観客を誘うのは、若手実力派の成海璃子だ。箸が転んでも可笑しい年頃の女の子は、コロコロと気持ちが変わり、笑っているかと思えば、些細なことでドン底までヘコむ。まことにメリハリのある毎日を送らねばならない。そんな日々に欠かせないのが他人と密接に関わる携帯というツールだ。

「ヒナとコトリの物語」には、学校で人気者になるためのノウハウが細かく書かれている。奇数人のグループを見つけて合流する、登下校時はさりげなく真ん中をキープする、カラオケは密室で仲良くなれるチャンスなので絶対参加!などなど。このルール、本当に存在するんじゃないのか?と思うほどリアルで具体的だ。10代の女の子たちにとって、人から好かれることは最優先事項。いや、好かれるというより嫌われたくないから、自分ではなく他人に合わせてしまう。そして、この映画のヒロインのように、本当の自分を見失っていることに気付いた特別な人間は、気の毒なほど悩んでしまうのだ。

偽りの自分ではなく本当の自分で生きる。実は、大人にとっても簡単なことじゃない。実際、今、巣(ス)の自分で勝負している人がどれだけいるだろう?他人に合わせることを大人になることとすり変えて生きているのが、大部分の人間の姿じゃないのか。このことに気付くことさえなく毎日をやり過ごしている人々も大勢いる。少女たちはそんな大人の世界をまだ知らない。だからこそ、本当の自分と偽りの自分の間で悩む彼女たちがいとおしい。自分なりの方法で“私らしく生きること”を選び、まっすぐに前を向く彼女たちを応援せずにはいられない。なぜなら私たちは皆、「大人になったヒナとコトリ」なのだから。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)大人の女性必見度:★★★★☆

□2007年 日本映画 
□監督:市川準
□出演:成海璃子、前田敦子、石原真理子、田口トモロヲ、他

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