300〈スリーハンドレッド〉 [DVD]300〈スリーハンドレッド〉 [DVD]
◆プチレビュー◆
けれん味たっぷりのビジュアルに、目が釘付け。スクリーンを見ていると返り血を浴びそうな暴力描写の連打に疑問はわくが、一見の価値がある映像美だ。 【65点】

紀元前480年。ペルシャ王クセルクセスは、圧倒的な軍事力でスパルタに服従を迫った。スパルタ王レオニダスは、ペルシャの使者を葬り、わずか300人の精鋭部隊で100万のペルシャ軍と戦うことを決意。地の利をいかした海岸の場所テルモピュライで決戦を挑むのだが…。

独特の世界観で圧倒的に支持されるコミック・アーティストのフランク・ミラー。彼のグラフィック・ノベルで、ヘロドトスの「歴史」にも記されている伝説の戦いを描いたのがこの物語だ。300(スリーハンドレッド)とは、100万人の敵に挑む数としては非常識にささやかな数字である。映画はこの300人が、どう戦ったかを劇画タッチで描いていく。斬新な映像の手触りに興奮必須だ。

物語はびっくりするほど暴力的で、戦いに終始する。祖国のためとはいえ、スパルタの兵士たちは、正義の所在よりも戦闘そのものを楽しんでいるかのようだ。戦術とチームワークは見ものだが、あまりに好戦的でメッセージ性など感じるヒマがない。スパルタとは、子供を国家の所有物とみなしての軍事教育で、劣勢分子は容赦なく排除する極端な洗脳社会だ。私たちは、精鋭部隊は時に勝利し歴史に刻まれはするが、結局は敗れ去る運命だったことを学ばねばならない。だが、結果的に、民主主義の推進が、血に飢えた戦士たちによって守られ推し進められる。ここに、争いを繰り返す人間の歴史の奥深さが見える。

物語に感情移入はできないが、その分、過激なアクションと強烈な表情にあふれた未体験の映像に魅了された。全ての背景はCGで合成された徹底した人工物。一方、屈強な男たちの肉体は本物だ。このコントラストが画面に異様な迫力を生んでいる。色彩の明度や光度を操作し、極端なスローモーションを多用した映像世界は、全編セピア調だ。今まで目にしたことのないビジュアルは、見るものを壮大な古代叙事詩へと誘い込む。そこには日常的なリアリティは存在しない。首が飛ぼうと、槍で串刺しになろうと、飛び散る血でそれを美しく装飾してしまう。この作品は徹頭徹尾、視覚の興奮にこだわった映像アートなのだ。私たちはまさに映像革命を体験する。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)独創性度:★★★★☆

□2006年 アメリカ映画 原題「300」
□監督:ザック・スナイダー
□出演:ジェラルド・バトラー、レナ・ヘディー、デイビッド・ウェナム、他

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