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◆プチレビュー◆
笑い満載のハートフル・ワンシチュエーション・サスペンス。思わず「座布団一枚!」と叫びたくなる上手い脚本に拍手だ。キャスティングも効いている。 【80点】

焼身自殺したD級アイドル・如月ミキ。彼女の一周忌に集まったファンサイトの常連の5人の男たちは、初めて顔を会わせる。思い出話に花が咲き、盛り上がるが、誰かが「彼女は自殺なんかするコじゃない。殺されたんだ!」と叫んだことから、怒涛の推理が始まるが…。

密室型のドラマは会話が勝負だ。さらに、観客の意識が散漫にならないよう、できるだけその場所から外に出ないこと。この2つを守っている密室映画にハズレはほとんどない。この映画にもその約束事は忠実に当てはまる。殺人の推理は二転三転するが、わずかな回想シーンを除いて、物語は密室に留まり続ける。もしやこの5人の中に犯人が?!そう思ったとたんに鮮やかに現れる驚きの新事実には、驚くやらあきれるやら。また、売れないアイドルの熱烈なファンという設定だけあって、5人のやりとりはオタク魂が炸裂。笑いのレベルは相当高い。舞台劇のような緊張感と、時代を鋭くとらえたセリフの感覚に、観客はワクワクものだ。脚本は「ALWAYS 三丁目の夕日」の古沢良太。さすがだ。

脚本と並ぶ映画の大きな魅力は、実力派男優5人の組合せだ。彼らの全く違う個性がプラスの相乗効果を生んでいる。特に、物語の牽引役で狂言回し的な要素も引き受ける“家元”役の小栗旬が秀逸だ。この役者、最近ではミョーな人気が沸騰し、アイドル路線を走りがちだが、ワンシチュエーションのドラマは実力がないとこなせない。ああ見えて、実は彼は演技派なのだ。D級グラビアアイドルを無条件に愛しぬく、心優しい“家元”氏。男たちは皆、驚くべき秘密を抱えていて、時には落ち込む展開になるものの、彼にはちゃんとすてきなプレゼントが用意されている。ここで一気に観客のハートフル指数が上がるはず。死の真相のキーワードは“愛”だった。やっぱ、これしかないでしょう!

改めて思うに、ハリウッドにはお金があり、日本映画にはない。乱暴な言い方だが、製作費ではてんで勝ち目はないのだ。でも、アイデアと工夫は決して負けてはいないと確信する。笑いとスピード感、スリリングな展開に思いがけない推理の結末まで、どれをとっても飽きさせない。ラストのやけっぱち気味のダンスで、ますますこの映画が愛しくなった。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)エンタメ度:★★★★☆

□2007年 日本映画
□監督:佐藤祐市
□出演:小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、他

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