2007年07月19日
バルタザールどこへ行く
バルタザールどこへ行く
ロベール・ブレッソン監督作品は、ストイックな映像表現の中に、人間の根源的な罪を描くものが多く、本作も一頭のロバの不幸な一生を通して人間社会の罪深さを描いている。
ピレネーの小村に住む少女マリーは、生まれたばかりのロバにバルタザールという名前を付けて可愛がる。月日が経ち、行方不明になっていたバルタザールと再会したマリーは喜んでロバを連れ歩くが、マリーに思いを寄せる不良青年が嫉妬からバルタザールを虐待する。じっと耐えるバルタザール。マリーもまた堕落していくが…。人間の世の中の罪を背負った1頭のロバと、少女の悲劇的な運命を淡々とつづる秀作。
悲しげな瞳のロバという動物は、生まれながらに重荷を背負うことを運命付けられた生き物だ。だがロバは抵抗することもなく、自らの定めを受け入れている。それに呼応して映画も決して声高なメッセージは発しない。欧米では、ロバは愚鈍な生き物の象徴だが、この作品では全てに受動的なこの動物を、人間を映す鏡のように描いている。
バルタザールとは聖書に出てくる名前で、キリスト誕生時に馬小屋に訪れた、東方の三博士(メルキオール、バルタザール、カスパール)の一人。壮年のバルタザールは“善行”の象徴とされる。
人間の傲慢と欲に翻弄されるバルタザールの一生があまりに悲しい。ロバのバルタザールの受難劇に、ブレッソン特有の宗教観を見ることができる。
出演は、アンヌ・ビアゼムスキー、ウォルター・グリーンなど。
(1964年/フランス・スウェーデン/ロベール・ブレッソン監督/仏語原題「AU HASSARD BALTHAZAR」) ←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/
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