レミーのおいしいレストラン [DVD]レミーのおいしいレストラン [DVD]
◆プチレビュー◆
ディズニーとピクサーの連合軍が手掛ける作品にハズレはない。高度なCG、秀逸な物語、素晴らしいメッセージ。ただ、ラストがちょっと…。 【75点】

天才的な料理の腕を持つネズミのレミーは、いつかパリで一流シェフになることを夢見ている。そんなレミーがひょんなことから料理の才能ゼロの見習いシェフ、リングイニと出会った。二人は助け合って料理の猛特訓を始めるが…。

絵柄の美しさと練られた脚本で、子供も大人も楽しめる米国発商業アニメーションの代表作だ。夢に向かって挑戦する姿や父と息子の和解の物語は、常套手段ながら手堅い設定。ちょっぴり恋愛ムードを加味するサービスも忘れない。帽子に隠れたレミーがリングイニの髪をひっぱりながら指示を出して料理を作っていく場面は、最高に楽しめる。リズミカルでスピーディな動きのアイデアでは、米国のアニメにかなうものはないだろう。おまけにこの映画に出てくる料理ときたら、アニメのくせに何とおいしそうなことか!大小の大きさで盛り付けられる作りたてのオムレツには、本気でウットリしてしまった。CG技術は本物に似せるレベルを越え、情緒に訴える次元に達している。

だが不満がないわけじゃない。多くの困難を乗り越えてレミーは夢をかなえるが、そこではネズミだけで料理をしている。この描写がバタバタとこじつけで納得できない。この映画は、ネズミの世界での物語ではなく、人間界でネズミがシェフになるからこそ価値があるお話だ。第一、料理の才能があるのはレミーだけだったはず。人間のスタッフとネズミのシェフのレミーに、共同作業で素晴らしい料理を作ってほしかった。男社会の料理界でがんばるコレットみたいな頼れる女性もいるというのに。レミーはネズミ同士の時は言葉を話すが、人間とは意思は通じるものの決して会話はしない。この秀逸な設定に感心していただけに、異なる世界の融和が描かれなかったことはとても残念だった。

ともあれ、映画のテーマは「既成概念の打破」だ。“厨房にネズミ”は最もあってはならない光景。なのに主人公レミーはなんとシェフを目指す。トンデモナイ設定だが、新しい才能とは常に常識を越えてやってくる。当たり前だと思っているものが実はそうではないと気付く瞬間に扉は開くのだ。蕎麦にはワサビ、政権は自民党、ウェス・クレイブンはホラー映画。どれもセオリー通りだが絶対ではないのである。高級フランス料理ではなく、家庭料理ラタトゥーユ(夏野菜の煮込み)で料理評論家と勝負したレミーの勇気と独創性を見習おう。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)グルメ度:★★★★☆

□2007年 アメリカ映画 原題「RATATOUILLE」
□監督:ブラッド・バード
□出演:(声)パットン・オズワルト、ルー・ロマーノ、イアン・ホルム、他

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