2007年09月12日

ひなぎく5

ひなぎくひなぎく

共産圏だった東欧の国の映画に、こんなぶっ飛んだ可愛いらしいガーリー・ムービーがあることをまず知ってほしい。反体制の気運を遊び心で表す映画的センスは、ほとんど奇跡だ。ポップな映像で活写されるお話は、東欧のヌーベルバーグと呼びたくなる。

ひなぎくの花言葉は“貞淑”。ただしこれはチェコでの意味のようで、この花には、純潔、無邪気、お人好し、無意識、幸福、明朗など沢山の花言葉がある。

自分たちのしたいことだけを、周囲の迷惑などかえりみず徹底的に楽しむ姉妹が主人公。ストーリーは、この姉妹がサイケなおしゃれとおしゃべりで大騒ぎ、おいしい物をたらふく食べて、男をだまして、スタコラと逃げてしまうというハチャメチャなもの。痛快だ!

牛乳のお風呂に入り、グラビアを切り抜くうちにお互いを切り刻んでバラバラに…など、シュールな場面も多い。色や形をわざとズラしてみたり、劇中に出てくるオブジェも前衛的センスを感じる。モノクロとカラーを使い分けるなど、映像的にもかなり凝っている作品だ。何といっても、金持ちの宴会に勝手にもぐりこんで、さんざん飲み食いしたあげくに唐突にENDになるところが良い。

同時に“プラハの春”の時代の、重い政治思想を跳ね飛ばして民主主義への渇望を訴える、いたって真面目な思いが透けて見えるのだ。事実、ヒティロヴァ監督は当局ににらまれて創作活動を制限されたりしながら、映画を作り続けた反骨の人である。

60年代に生まれた元祖“女の子ムービー”だが、衣装や小道具などの造形といい、今見てもまったく遜色がない。アヴァンギャルドなアート・シネマとしてぜひ楽しみたいところだ。

(1966年/チェコスロバキア/ヴェラ・ヒティロヴァ監督/原題「Sedmikrasky」)

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cinemassimo at 00:20 │Comments(0)TrackBack(0)clip!アート系映画の魅力 
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