ボーン・アルティメイタム 【VALUE PRICE 1800円】 [DVD]ボーン・アルティメイタム 【VALUE PRICE 1800円】 [DVD]
◆プチレビュー◆
まれに見る出来の良さで3部作をしめくくる人気アクション・シリーズ完結編。気合の入った映像は興奮もの。 【85点】

 記憶を失くし、愛する人を奪われた、最強の暗殺者ジェイソン・ボーンは、自分を亡き者にしようとしている組織に立ち向かうことを決意する。自らのルーツと陰謀の真相を知るために、彼が最後にたどり着いた場所はNYだった…。

 映画史上屈指のスパイ・アクション映画がついに完結してしまうかと思うと、感無量だ。最初は、マット・デイモンにアクション映画なんて務まるのか?との危惧があったことなど、今や笑い話。精悍に鍛えた肉体で、知的でクールな主人公を演じるデイモンには、女性ファンばかりでなく男性さえも見惚れるだろう。この俳優、お世辞にも美形とは言い難いのに、どういう訳か絶大な人気がある。ガキッぽい顔でも頭脳は明晰、写真ではヘンな顔なのに動き出した途端に魅力を発する。アンバランスな危うさがウケるのでは…と密かに分析しているのだが、やはり真面目な役作りから引き出すリアルな演技が評価されての人気だろうか。ともあれ、ヤワな好青年を闘う男のイメージに変えた人気アクション・シリーズは、主人公がCIAの暗殺者、その上、殺人兵器として利用されていたことが判明し、いよいよ核心に迫ってきた。最終章、ボーンは、自分を執拗に狙う組織と対峙しようと心に決める。鍵を握るのは、恐ろしいCIA極秘プロジェクトだ。全ての記憶を取り戻した時、ボーンは組織に最後通告(アルティメイタム)を叩きつける。それは愛さえも諦めた悲壮な決意だ。

 シリーズの醍醐味である大掛かりな追跡劇は今回も健在である。モスクワ、ロンドン、マドリッドと、観客を次々に世界の大都市へと連れて行く。中でも一番の見所はモロッコのタンジールだ。ここで組織が差し向けた殺し屋と壮絶なチェイスが繰り広げられるが、狭く入り組んだ路地、特徴ある建物など、エキゾチックな景観を最大限に活かしつつ、細かいカット割で激しいアクションシーンを連打する。画面から溢れる気合たるやハンパじゃなく、まばたきする時間さえ惜しい。屋根から屋根へ飛び移り、遂にはガラス窓を破って直接向かいのビルへ飛び込むボーン。演じるデイモンはもちろん、それを追うカメラまでジャンプする躍動感に、興奮必須だ。無駄な動きは一つもなく、全て次の行動へと続く意味がある。ドキュメンタリータッチを得意とし、手持ちカメラを駆使するグリーングラス監督の映像作りの腕は一級品だ。

 ただ、忘れてほしくないのは、この映画の魅力が上質のアクションだけではないということ。観客を何よりも惹きつけるのは、ジェイソン・ボーンの人間的な魅力だ。彼は現実離れした武器など持たず、常に身近なものや情報を利用しながら、頭脳で難局をかいくぐる。一方で、記憶は失くしても全て身体が覚えている超人的な能力に、自分がやってきた罪の深さを感じてもいる。そのため、敵の正体と真意が見えない戦いの中で、無益な殺しは極力避ける。ボーンの本質は善であり、争いごとなど望んでいないのだ。そんな彼の自分探しの旅の果てにある真実が痛ましいが、彼はそれから決して逃げたりしない。強い意志と悲しみを秘めて闘う男。この姿が私たちの胸にグッとくる。主人公を熱演するマット・デイモンはもちろん、脇を固める俳優たちも渋い実力派で磐石だ。高いエンタテインメント性と、人間ドラマとしての深みを3作を通して維持した、アクション映画の傑作だと確信する。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)スピード感度:★★★★★

□2007年 アメリカ映画 原題「THE BOURNE ULTIMATUM」
□監督:ポール・グリーングラス
□出演:マット・デイモン、ジュリア・スタイルズ、ジョアン・アレン、他

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