ペネロピ [DVD]ペネロピ [DVD]
◆プチレビュー◆
風変わりなおとぎ話でキュートなラブロマンスは、豚の鼻を持った女の子が主人公。ポップな映像が楽しい。 【65点】

 裕福な名家に生まれながら、先祖がかけられた呪いのせいで、豚の鼻と耳を持って生まれたペネロピ。何とか結婚させて呪いを解こうとする両親の奮闘も空しく、お相手は彼女の顔を見た途端、皆、窓を破って逃げ出してしまう。唯一逃げなかった青年マックスの不実を知ったペネロピは、ついに家出を決意するが…。

 寓話的なストーリーに、過剰なほど作りこんだドール・ハウスのような映像世界は好みが分かれそうだ。女性はOK、男性はNGと大雑把に予想する。だが、シニカルな味を加味したおとぎ話の出来は決して悪くない。呪いという現実離れした設定も、ポップでシュールな映像も、超個性派女優クリスティーナ・リッチの存在感で、すんなり受け入れることができる。豚鼻の女の子などというトンデモナイ役を引き受ける勇気に驚くが、ファニーな付け鼻が不思議なほどよく似合うのでこれまたビックリだ。マフラーで隠した顔からのぞく彼女の大きな瞳と、独特の可愛さに改めて惚れ直す。

 豚の耳はロングヘアで隠せても豚の鼻は隠せない。そこで両親は彼女を世間の好奇の目から隠すため、とりあえず死んだことにした上で、屋敷に閉じ込めて育てた。ひとりぼっちで成長し、年頃になってお見合いに失敗しまくる。こんな人生だったら、普通はグレるか、変人になってしまいそうなもの。だが、この愛すべきヒロインはまったくスレたところがない。ピュアな赤ん坊みたいな不思議ちゃんなのである。性格美人とはまさにペネロピのことで、彼女は、自分の不運な境遇に恨み言ひとつ言わない。それどころか繊細で知的で優しいので、豚の鼻さえキュートに見えてくる。

 だからこそ、心優しいペネロピが傷つく場面は見ていてつらい。お見合い相手のドラ息子とゴシップ記者の陰謀で送り込まれたマックスの優しさに触れた分、彼の裏切りを知ったペネロピのショックは千回分の失恋にも匹敵するのだ。実は、マックスもペネロピに惹かれているのだが、それよりも彼にはより重大な秘密があった。その事を知らない傷心のペネロピは、家出してロンドンの街へ。ここから彼女の運命は、急激に転がり始める。初めての友達、世間へのカミングアウト、考えた末についに花嫁に。呪いを解くには、ペネロピの仲間が彼女に愛を誓わねばならない。仲間とは、名家なのか、富豪なのか、大衆なのか。運命を切り開こうと必死で頑張るペネロピが何ともけなげだ。そして、物語は意外な方向へと向かう。

 人は外見じゃない、心なんだ!と口では言いながら、やっぱり容姿が気になるのが人間の悲しさだ。第一、女の子にルックスを気にするなという方が無理である。だが男性だって、顔付きや身長、毛髪の減少は気になるはず。結局、誰もがコンプレックスを持って生きているということだ。ほら、ヒロインがぐっと身近に思えてきた。はたしてこの物語は“めでたし、めでたし”になるのだろうか? 大丈夫、だってこれはおとぎ話だもの。王子様に愛されるよりも、まず自分を愛することが幸せになる第一歩なのである。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ポジティブ度:★★★★★

□2006年 イギリス映画 原題「PENELOPE」
□監督:マーク・パランスキー
□出演:クリスティーナ・リッチ、ジェームズ・マカヴォイ、リース・ウィザースプーン、他

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