殺人魚フライングキラー
殺人魚フライングキラー
「ターミネーター」シリーズ、「タイタニック」「エイリアン2」で後に名をはせる大監督ジェームズ・キャメロンの長編デビュー作が、このパニック・ムービーだ。一応、ジョー・ダンテ監督の動物パニック映画「ピラニア」の続編という扱いだが、全くつながりはない。物語は、殺人生物兵器として軍が開発した魚が人間に襲いかかるというもの。ちなみに、このお魚、ピラニアと飛び魚とトウゴロイワシ科のある種をかけ合わせて作った凶暴極まりない生物という設定である。売りは“飛ぶこと”だ。
何しろ、そのチープでローテクな映像に唖然とさせられる。撮影秘話によると、大挙して襲ってくる殺人魚の空飛ぶピラニアは、実は3〜4体しか用意できず、合成映像と使いまわしで撮影するという涙ぐましい状況だったらしい。ストーリーは完全に「ジョーズ」の亜流。カリブ海のリゾート島で怪死事件が発生、勝気で海洋事情に詳しいヒロインが避難するように説得するが、小さな町でのイベント前夜ということであっさり無視され、惨劇へと至る…と、「ジョーズ」そっくりに発展していく。
ピラニアといえばアマゾン川に生育する肉食魚だが、空を飛ぶという設定にしたことで人間たちはどこにも逃げ場がないという点が特徴だ。だが深海で人間を襲う場合、水中なのでパニック・ムービーに不可欠の「ギャ〜ッ!」という叫び声が使えないところがイタい。
普通は後に名を上げる名監督の場合、新人監督時代の低予算映画にも、何かしら才能の片鱗が見えるものだ。だが、この作品にはそれが見事なまでにない!のである。あえて、探すとすれば“水好き”のキャメロンらしい水中撮影ということくらいだろうか。ジェームズ・キャメロン自身、この作品を、忘れたい過去の汚点として嫌っていて、インタビューなどでこの作品に触れられると激怒するというのは有名なエピソードだが、彼の著作の中ではこの映画についてもきちんと語っている。いずれにしても、大作映画の印象が強いキャメロン監督初期の珍品として映画ファンには有名な作品なのだ。
(1981年/アメリカ/ジェームズ・キャメロン監督/原題「Piranha II: Flying Killers」)
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