ファーストフード・ネイション
ファーストフード・ネイション デラックス版 [DVD]
「食」の問題についての語る映画は多いが、この作品の恐ろしさはハンパじゃない。ファーストフードの代表選手ハンバーガーにかかわる様々な人間を通して、食の問題は、個人や一企業ではなく、消費者も含めた社会構造全体にあると訴える。
利潤追求に余念がないハンバーガー・チェーン店“ミッキーズ”本社のマーケティング部長ドンは、社長命令で自社工場の視察にやってくる。そこには、ハンバーガーが出来るまでの様々なプロセスに係わる人々が、それぞれの事情を抱えながら働き暮らしていた。アルバイトの店員、メキシコからの不法移民の運び屋、劣悪な工場で酷使される移民、環境保護グループに、以前は食肉工場に牛を卸していた牧場主など。ついにドンは、ハンバーガーの冷凍パテがトンデモナイ工程で作られている事実を知るのだが…。
ファーストフードとは日本語の発音表記。英語のつづりは“fast food”で、正しくはファストフードだ。一般にファーストフードという場合は、「アメリカ資本の」「チェーン店の」「安くて」「手軽な」「高カロリー食品」と定義される。具体的には、ハンバーガー、フライドチキン、ドーナツなどを指す。近年ではファーストフード大国のアメリカでも、高カロリー、高脂肪、栄養素の偏りがあるファーストフードはジャンクフードとみなされ、日常的に食べることは健康に良くないと言われている。
映画では、fast(速い)という言葉を裏付けるように、流れ作業を滞らせることなくラインを維持する。作業工程では、衛生も安全も無視されていて驚愕だ。この作品には“世界一運の悪い男”として有名な大スターが登場するが、シカゴ支店の副社長である彼は企業の巨悪をすべて知っていながら容認している。「焼いてしまえば大丈夫」と言い切る彼の言葉はショッキングだ。
観るものに衝撃を与える恐ろしい映画だが、それでも買ってしまうハンバーガー。ファーストフードの怖さとは、圧倒的な安価と逃れられない習慣性に他ならない。日本を含む世界中に存在するチェーン店は、今日も笑顔とともに開店している。ラストシーンを見ると、あぁ、やっぱり…と力が抜けた。
(2006年/米・英/リチャード・リンクレイター監督/原題「FAST FOOD NATION」/出演:グレッグ・キニア、イーサン・ホーク、パトリシア・アークエット、他)![]()
←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

メールはこちらから↓