スピード・レーサー 特別版 (2枚組) [DVD]スピード・レーサー 特別版 (2枚組) [DVD]
◆プチレビュー◆
VFX全開で描く驚異の映像世界。俳優たちの戯画的なキャラがアニメを連想させ楽しめる。 【60点】

 愛車“マッハ5”を操るスピードは、怖いもの知らずの天才レーサー。かつてレース中の事故で命を落とした兄は目標であり誇りだ。だが、レース界の陰謀に巻き込まれたスピードは、兄の命を奪った超難関ラリーに挑むことに…。

 ウォシャウスキー兄弟が最も影響を受けたと明言する日本のアニメーション。中でもタツノコプロの和製TVアニメ「マッハGoGoGo」は、ラリーとアンディの二人が最初に見た日本アニメとあって、今回の実写映画化にあたっての気合は半端じゃないはずだ。彼らの思い入れは先鋭的なVFXとなって、レーシングワールドを変幻自在のイリュージョン世界へと作り変えた。

 天才レーサーが数々の困難を克服して勝利へと至る物語は、いたってシンプル。自分はなぜ走るのかと一応悩んでみせるが、そんなものは“好きだから”に決まっている。家族の支えと悪の組織との対決もお約束通りだ。単純極まりないが、才能ある兄弟監督は、この映画の核をストーリーに置いてはいない。

 ウォシャウスキー兄弟は、本作でVFXによる驚きの映像を創造することに全力を傾けた。高解像度デジタル・スチール・カメラで撮った風景を、後からつなげて360度のパノラマを展開し、「マトリックス」で確立した撮影技術バレット・タイムを、さらに進化させたレーサー・タイムを披露。最も力を入れたというレースシーンは、革新的でド派手なヴィジュアルだ。目が眩みそうな極彩色の映像は、五感すべてを刺激するだろう。特に氷のコースの疾走感はエクスタシーを感じさせた。そんな映像の中では、極端にデフォルメされた俳優たちのカリカチュア的演技こそが活きる。クリスティーナ・リッチなど、漫画チックなルックスがハマりすぎて、もはや生身に見えないほどだ。実写とアニメの融合を謳った“ライブ・アクション・カートゥーン”は、まだ改善の余地があるが、この作品が21世紀の映像革命のスタートではなかろうか。

 とはいえ、意図的にシンプルに徹したファミリー・アドベンチャーは、お子様向けで、好感は持ててもあまりに他愛無い。斬新な映像に哲学的なストーリーを組み合わせた「マトリックス」は、エポック・メイキングな映画だったが、クリエーターが同じだけに、本作に大人を引き込むカリスマ性がないのは寂しい。日本アニメへのオマージュにしては真田広之の役に物足りなさが漂うし、135分と無駄に長尺なのも欠点を露呈した。

 それでもこの作品のワクワク感は否定できない。眼精疲労に耐えて迎えたラストのカタルシスはやっぱり格別だ。エンドロールに流れるヒップホップ風の主題歌には、なんとちょっぴり日本語が!思わず口ずさみたくなる親しみやすいメロディは、きっと記憶に残るはずだ。大スクリーンにはじけるポップアートのような映像の中で、視覚的快楽に身を任せるのも時には悪くない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)カラフル度:★★★★★

□2008年 アメリカ映画 原題「SPEED RACER」
□監督:ウォシャウスキー兄弟
□出演:エミール・ハーシュ、クリスティーナ・リッチ、 スーザン・サランドン、他

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