ハンコック エクステンデッド・コレクターズ・エディション [DVD]ハンコック エクステンデッド・コレクターズ・エディション [DVD]
◆プチレビュー◆
嫌われ者のスーパーヒーローという設定が新しい。前半は面白いのに後半失速するのが残念。 【65点】

 スーパーヒーロー・ハンコックは嫌われ者の困ったヤツ。人助けはするが勢いあまってビルや道路をメチャクチャにし、常に市民からヒンシュクを買っていた。酒好きでだらしない彼だが、偶然助けたレイからある提案を受ける…。

 人々の窮地を救うヒーローが非難されるという悲喜劇を、コミカルに見せる前半がとにかく楽しい。なぜか力加減ができないハンコックは、悪人退治に駆けつけるものの、着地に失敗して道路を破壊、建物をぶっ壊してブーイングをあびている。クジラを投げ飛ばして海に戻せば沖のヨットに命中して沈めてしまうし、車や列車を片手で持ち上げては大破させる。裏目に出るとか、世間に不満があるとか、そんな理由じゃない。要するに雑なのだ。力をもてあます子供のような男。それがハンコックである。

 その大きな子供は、記憶がない。超人パワーや不死身で歳をとらない理由はおろか、自分が誰なのかもわからない。アイデンティティーの喪失は孤独へとつながり、心はいつも寂しいというわけだ。そんな彼が偶然助けたのがPR会社の営業マンのレイだった。お人よしの彼は、命の恩人のハンコックに何とかお礼をと、イメチェンを買って出る。「誰からも愛される本当のヒーローにならないか?僕が手伝うよ」。まずは、礼儀正しく、相手を思いやり、身なりも整える。不本意なボディースーツを身にまとい、ギクシャクと正しいヒーローになっていくハンコックが、なんだか可愛くなる。

 前半はこのようにファンキーなヒーロー像をたっぷり堪能でき、まったく飽きない。だが後半ときたら、いきなりトーンダウンし別の映画のようなのだ。家族ぐるみのつきあいをしてくれるレイに、気がついたら病院に寝ていたことやそれ以来不死身になったことなど、自分の覚えている少ない過去をポツリポツリと語りはじめるハンコック。ここから、レイの美人妻メアリーが意外な形でからんでくる。これには正直驚くが、いきなりのシリアス・モードはいかがなものか。パワーダウンの理由や過去の秘密もはっきりしない。ヒップホップでノッていたスミスが、急にムード歌謡を歌いだすくらいの落差があり、すっかり調子が狂ってしまった。後半は怒涛のアクションもあるというのに、壮快感を失っていくストーリーがもったいなくて仕方ない。

 物語のバランスには納得できないものの、そんな時こそウィル・スミスである。92分の短時間だ。興行成績請負人でミスター・サマームービーの異名を取る大スターの魅力があれば十分と言わんばかりにぶっちぎる。実際、スミスほどヒーローがよく似合う男はいない。たとえヨレヨレの服装で、言葉使いが悪くても。たとえキレやすくて、空気が読めなくても。ちなみにヒーロー像は世相を表すという。はたしてハンコックの体現するものとは?ズバリ、型破りということだ。既成観念を打破する人物。私たちは現実でも映画でも、そんなヒーローを待っている。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)グッドジョブ度:★★★☆☆

□2008年 アメリカ映画 原題「HANCOCK」
□監督:ピーター・バーグ
□出演:ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマン、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/