かけひきは、恋のはじまり [DVD]かけひきは、恋のはじまり [DVD]
◆プチレビュー◆
クルーニーが監督・主演した大人のスクリューボール・コメディ。丁々発止のやりとりが楽しい。 【65点】

 1920年代の米国。引退間近の選手ドッジは落ち目のアメフト・チームを何とか立て直そうと学生アメフトの花形スターをスカウトする。そこに、ある目的でチームを取材する美人敏腕記者レクシーが登場。最初は反発し合う二人だったが…。

 邦題から受ける印象はあくまでロマンチックなラブ・コメディだが、実はこれ、アメフト草創期を描く物語でもある。映画の中で跳ねるのは二つのボールだ。アメリカンフット“ボール”とスクリュー“ボール”コメディ。両方のボールが試合と恋愛の間で勢いよく弾めば、古き良きアメリカのコメディが輝きだす。

 スクリューボール・コメディとは、さまざまな要素で対立する男女の恋愛模様を、小気味よい会話と笑いで描くものだ。最悪の出会いやケンカを経て惹かれあい、最後にはめでたし、めでたしがお約束である。このテの作品の第一号は「或る夜の出来事」だが、そう言えばクルーニーは、どこかクラーク・ゲーブルを意識したような役作りだ。ならば相手役のゼルウィガーは、さしずめゲーブル夫人だった美女キャロル・ロンバートと言えば褒めすぎだろうか。

 ベテラン選手ドッジは、若手実力選手カーターの人気でチーム再建を目論むが、女性記者レクシーはカーターのスキャンダルを暴こうとする。互いに惹かれるドッジとレクシー二人の立場もビミョーなら、レクシーに想いを寄せるカーターがからむ三人の関係はもっと複雑だ。だがひとつ問題がある。仮にも三角関係もどきだというのに、クルーニーに対してカーター役のジョン・クラシンスキーがあまりに魅力が薄いのだ。ここはもっと華のある若手スターがほしかった。クルーニーの魅力炸裂が大前提の作品とはいえ、ライバルがこう地味では寂しすぎる。これではレクシーでなくとも、女はドッジを選ぶに決まっているではないか。

 そんなドッジとレクシーは自信過剰で勝気な似た者同士だ。二人は出会った時から互いにパンチを効かせて応戦する。美人のレクシーを一目見て気に入ったドッジは果敢に近づくが、男勝りの彼女は「私の前から消えて!」とピシャリと拒絶。だが、心の中では、粋で楽しいマシンガン・トークを繰り広げながらアプローチしてくる伊達男に悪い気はしない。また、寝台列車で同室になる場面は、安易にエロチックな展開にはならず会話で笑わせる。かつての米映画には性描写に厳しい規制があり、それが逆に洗練された演出を生み出してきた。その良き伝統がちゃんと活かされているのが嬉しい。今やライバルチームの一員となったカーターの所属するチームと決戦の試合を迎えた時、荒っぽいプレーでならしたドッジのチームは新時代の到来を知る。同時に主人公たちの恋の行方も見えてこよう。

 原題のレザーヘッズとは、20年代、アメフトの試合中にかぶった皮製のヘッドギアを指す。映画は、アメフトが本格的なプロ・スポーツリーグへと変わる瞬間を描くが、米国ほどアメフトの人気がない日本では、邦題からスポーツの香りは抜け落ちた。本作の魅力はやはりスリリングな恋愛のかけひきと言いたいのだろう。そして、アメリカ製ラブ・コメディのウィットは、クルーニーのようなカリスマ・スターが引き継いでこそ本物の伝統になるのだということも。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)クラシック度:★★★★★

□2008年 アメリカ映画 原題「LEATHERHEADS」
□監督:ジョージ・クルーニー
□出演:ジョージ・クルーニー、レニー・ゼルウィガー、ジョン・クラシンスキー、他

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