マンマ・ミーア! [DVD]マンマ・ミーア! [DVD]
◆プチレビュー◆
ABBAのナンバー全22曲にのって、熟年男女がハジケまくる。こういう映画は楽しまなきゃソン! 【55点】

 ギリシャの小島でホテルを営むシングルマザーのドナは、娘の結婚式を控えて大忙し。一方、母親の日記を盗み読んだ娘ソフィは父親候補が3人もいてビックリ。母に内緒で自分の結婚式に彼ら3人を招待するのだが…。

 既成の曲だけを使って構成されるミュージカルを、ジュークボックス・ミュージカルと呼ぶ。「マンマ・ミーア!」は、ABBA(アバ)のナンバーをたっぷりと使用して作られた人気ミュージカルの映画化だ。アバは、70年代から80年代にかけて、世界中で大ヒットを連発したスウェーデン出身の男女4人のポップス・グループ。彼らの曲のテンションの高さは並みじゃない。

 お話は娘ソフィの父親探しが軸だが、映画の本流は、母ドナと彼女の昔の恋人3人との再会からはじまる大騒動だ。ドナを演じるのは名女優のメリル・ストリープだが、ここにきて、この人のフル・ミュージカルを見ることになろうとは。ストリープの歌を聴くのは初めてではないし上手いのは知っていたが、時に独唱、時に群舞と頑張るサマは、まるでアクション映画のように激しい。オーバーオール姿で、ベッドの上で飛び跳ね、屋根から落下し、桟橋から海中へ飛び込む。ハリウッドきっての演技派女優のはしゃぎっぷりに、思わずドン引きしてしまったのだが、こんなメリルを見ているうちに、本当のパパを知りたい娘心より、元カレと再会してパニくる母ドナの心の揺れが気になってくるから、さすがは大女優の牽引力というしかない。歌い踊るナンバーはどれも陽性の明るさに満ちているが、熟年男女のド派手なコスプレは、舞台ならまだしも映画のスクリーンでは浮きまくり。少々品位に欠ける気さえする。

 そんな文句を並べながらも、世代を越えて愛されるアバのヒット曲が鳴り響けば、大味な演出も「まぁ、いいか」という気持ちになるから不思議だ。ソフィを演じる新星アマンダ・セイフライドがみずみずしい存在感と抜群の歌唱力でさわやさを体現しているのも、忘れちゃいけない。マンマ・ミーアとはイタリア語で「なんてこった!」というニュアンスの感嘆の言葉だ。にぎやかなストーリーの中、全員に“マンマ・ミーア!”な瞬間が訪れる。それぞれ「自分が父親なのか!」と叫ぶ3人の中年男たちの驚きと喜びの行方は、映画を見てのお楽しみだ。どんな結果が待っていようと、母娘の絆は何よりも強いし、愛の形は自由だ。かつては奔放な恋に生きた母と、20歳で花嫁になり人生を決めてしまおうとする娘。登場人物たちの運命の行方を見届けたあとは、エンドクレジットまで、ダンサブルでハッピーな音楽が導いてくれる。

 そもそもアバのナンバーは、なぜ今も世界中から愛されているのか。ポップスの難しい音楽的解釈はさておき、理屈抜きの明るさと健康的なメロディーラインに、誰もが生きる喜びを感じるからではなかろうか。ノーテンキを絵に描いたようなこの作品が、見終われば何とも愛しくなるのは、苦笑しながらもノセられて楽しんだ自分を発見できるから。さぁ、栄養剤みたいにグッと一気飲みして楽しもう。きっと、元気をもらえるはずだ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)高揚感度:★★★★★

□2008年 アメリカ映画 原題「MAMMA MIA!」
□監督:フィリダ・ロイド
□出演:メリル・ストリープ、アマンダ・セイフライド、ピアース・ブロスナン、他

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