グッド・バッド・ウィアード 特別版 (2枚組) [DVD]グッド・バッド・ウィアード 特別版 (2枚組) [DVD]
◆プチレビュー◆
満州が舞台の韓国製ウェスタンは勢いが勝負。レオーネファンとしては苦言を呈したくなる。 【60点】

 日本軍占領下の1930年代の満州。賞金ハンターのパク・ドウォン(グッド)、冷酷なギャングのパク・チャンイ(バッド)、間抜けなコソ泥のユン・テグ(ウィアード)の3人は、謎の宝の地図を巡って争奪戦を繰り広げることになる…。

 「愛してる」だの「死んでも君を守る」だのと言いながら、男女共に涙を流し、四六時中“泣き”が入るのが韓国映画。メロドラマのイメージが強く、敬遠している映画ファンも多いと思うが、そんな先入観を拭い去ってくれるのがこの韓国製ウェスタンだ。キムチ・ウェスタンとでも呼びたい本作は、名匠セルジオ・レオーネのマカロニ・ウェスタン「続・夕陽のガンマン」(1966)にインスパイアされたという。タイプの違う3人の男の宝探しという点はもちろん、随所の描写が酷似しているが、ムチャクチャ感は本作の方がずっと上だ。

 事の発端は日本軍が極秘にしたという宝の地図。その宝の正体は謎のまま、人種のるつぼで混沌極める満州を舞台に、ギャングとコソ泥、日本軍と抗日組織、馬賊までもが地図を奪い合う。そこにクールな賞金ハンターがからみ、ド派手な列車強盗や銃撃戦が繰り広げられるという寸法だ。果たして宝にたどり着けるのか。そしてその宝とは。日本軍や満州の描写はかなりいいかげんだが、そこは無国籍アクション。固いことを言うまい。映画は、活劇に徹し、美人揃いの韓国有名女優さえ物語から締め出すほど、男たちが暴れまくる。

 だが、しかし。設定がムチャクチャなのはいいとしても、こうまで物語の流れにメリハリを欠くのはいかがなものか。メロドラマにせよアクションにせよ、万事が過剰なのが韓国映画の特徴だが、本作も全編これクライマックスといわんばかりに騒がしい。この映画が「続・夕陽のガンマン」の“リメイクもどき”であることはこの際不問だ。レオーネ自身、「荒野の用心棒」で黒澤映画を盗作したと訴えられた経緯を踏まえると、パクリというのも狙ったようで面白い。だが、せっかく抜群の手本があるのだから、騒々しいだけでなく、ドラマに気を配ってほしかったと思うのは、大のセルジオ・レオーネファンの私だけではないはずだ。コソ泥のユン・テグの正体など、宝探しとは別の話。ラストの決闘の場面はそっくりでも、そこに至る道筋が説得力に欠けては何もならない。

 それでも、リアル嗜好のアクションが大迫力なので退屈とは無縁だ。全方向地平線の満州は、中国のゴビ砂漠での過酷なロケのたまもので、素晴らしい舞台装置となった。馬やバイクで縦横無尽に暴れる韓流スターの姿は、見ていてスカッとする。特にチョン・ウソンがいい。全力疾走で馬を駆りながら、ウィンチェスター銃をぶっ放す様は、イケメンのウソンならではの絵になる構図だ。

 「続・夕陽のガンマン」の伊語原題は「Il Buono, il brutto, il cattivo(いい奴、悪い奴、汚い奴)」。“汚い”とはいったいどんな行為なのかを考えさせるところに深みがあった。韓流ウェスタンの快作はその域には至らなかったが、まずは韓国映画のイメージを打ち破った、スケールの大きな痛快エンタメ活劇の誕生に拍手をおくるべきだろう。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)トンデモ度:★★★★☆

□2008年 韓国映画 原題「The good,The Bad,The Weird」
□監督:キム・ジウン
□出演:イ・ビョンホン、チョン・ウソン、ソン・ガンホ、他

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