Disney's クリスマス・キャロル
誰もが知るディケンズの名作が、最新技術を駆使したユニークな映像で蘇った。家族も持たず、人との絆も信じられず、ただ金銭欲を満たすために生きる老人スクルージ。街一番の嫌われ者の彼のもとに、クリスマス・イブの夜、元ビジネス・パートナーの亡霊が現われ、スクルージに「過去・現在・未来をめぐる時間の旅へと連れ出す3人の亡霊にとりつかれる」と予言する。翌日から一夜ずつ現われた亡霊と共に、彼が見たものとは…。
俳優の演技をデジタル化する“パフォーマンス・キャプチャー”は、実写でもアニメでもない不思議な手触りの映像だ。ゼメキスは「ポーラー・エクスプレス」や「ベオウルフ」でもその技術にこだわった。今回、主人公をはじめ一人7役を演じるのはジム・キャリー。この人の多芸ぶりと表現能力は、複数の役を演じることに向いている。物語は、有名なものだが、不安と不況の現代にこそ、この物語の持つ「あたたかい心を忘れないで」というメッセージが必要だというのがゼメキス監督の言わんとするところだ。金がすべての嫌われ者が、究極のタイムトラベルによって、自分の孤独と周囲の親切や困窮に気付いていく姿を、順を追って描く。最新デジタル技術の冴えを見せるのは、灯のような過去のクリスマスの亡霊の表現。変幻自在のその姿は幻想的だ。だが映像が全体的に予想以上におどろおどろしく、ホラー・ファンタジーのようだったのが意外。子供にとってはちょっと怖いかも…と心配になる。ひどいことをすると怖い目に遭いますよという昔ながらの教訓という意味ではオーソドックスな手法なのだが。終盤、主人公がいきなり“いい人”になり改心するのはいかにも教訓めいていて少々鼻につくが、クリスマスの物語にこれ以外の展開は許されない。素直に聖夜を祝うためにも。
【60点】
(原題「Disney's a Christmas Carol」)
(アメリカ/ロバート・ゼメキス監督/ジム・キャリー、ゲイリー・オールドマン、ロビン・ライト・ペン、他)
(教訓度:★★★★☆)
クリスマス・キャロル (竹書房文庫)
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