マイマイ新子と千年の魔法 [DVD]マイマイ新子と千年の魔法 [DVD]
生きることを、単純かつ純粋に楽しむ子供は、空想と現実の世界を自由に行き来できる。この物語の主人公がそうであるように。舞台は昭和30年の山口県の片田舎。戦争の傷跡はまだ残っているが、空想好きの小学3年生の新子は、毎日を元気に過ごしていた。ある日、東京から貴伊子というおとなしい少女が転校してくる。好奇心旺盛な新子は、田舎の生活にとまどっていた貴伊子ともすぐに仲良くなった。新子の遊び仲間たちとも打ち解けた貴伊子だったが、仲間との絆を揺るがす事件が発生。新子はある決心を胸に家を出る。

タイトルに「魔法」という言葉があるが、この物語には派手な冒険や英雄は登場しない。芥川賞作家・高樹のぶ子の原作を基に作られたこのアニメは、普通の子供の目の高さで物語を丁寧に語っていく。新子は、自分が住む場所が、平安時代の地方の国の都・国衙であると祖父から教えられて以来、千年前にあった町と人々の暮らしを活き活きと想像する多感な少女だ。マイマイとは、新子のおでこにあるつむじのことで、彼女の豊かな想像力の源として描かれる。だが想像力とは、マイマイがない貴伊子や、今は大人になってしまった私たち皆が持ちうる力なのだ。昭和30年の山口では、現代に比べてすべてがのんびりしているが、それでも厳しい現実は存在する。物語後半で描かれる、少年のつらい運命は今の時代と少しも変わらない。自分ではどうにもならない事態に遭遇したとき、支えてくれる友達がいることが生きる力になることも同じだ。「明日も遊ぼうや」「うん」。この何でもない言葉こそが子供時代の宝物に思える。この作品は明日に希望が持てず、価値観が揺らぎがちな現代を生きる大人こそが見るべきかもしれない。マッドハウスが手がける親しみやすい絵柄が、好感度を上げている。
【60点】
(日本/片渕須直監督/(声)福田麻由子、水沢奈子、本上まなみ、他)
(ほのぼの度:★★★★★)

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