パブリック・エネミーズ リミテッド・バージョン [DVD]パブリック・エネミーズ リミテッド・バージョン [DVD]
◆プチレビュー◆
伝説の銀行強盗の生き様が熱い。物語はシンプルだが、その分、ジョニー・デップの魅力が際立った。 【70点】

 スリリングな逃亡劇と美男美女が織り成すラブ・ストーリー。本作には、観客がスクリーンで最も見たいと望む要素が詰まっている。1930年代の米国。大恐慌で苦しむ庶民が英雄視したのは、鮮やかな手口で銀行から大金を奪い、不可能に見える脱走を繰り返す、ジョン・デリンジャーその人だ。大胆不敵な彼は、毎日を熱く生きることが本望のような男だが、運命的に出会った美女ビリーを愛したことで、何があっても彼女を守り抜くと誓う。だが、そんなデリンジャーをFBIは“社会の敵”と称して執拗に追い続ける…。

 不況で苦しむ大衆が犯罪者デリンジャーを義賊としてもてはやしたのは、理由がある。まず弱者からは何も奪わず、利益を独り占めする銀行から大金を奪ったこと。仲間を決して見捨てないなど、独自のルールを貫いたこと。ハンサムでおしゃれ、物腰が柔らかく紳士的だったというルックスの良さ。マスコミを巧みに利用するしゃれっ気もあった。デリンジャーという人物は、映画の主人公そのものではないか。だが、ノミ行為で大金をせしめる犯罪組織が台頭するなか、あえて危険な銀行強盗にこだわる彼は、大衆に人気はあっても時代に取り残されていく運命だった。そんな彼の最期は簡単に予想できるが、短い生涯の最後に燃えた一途な恋愛を中心に据えたことで、映画は、主人公の男気を際立たせている。当代一の人気俳優ジョニー・デップに「俺の好きなもの。野球、映画、高級服、速い車。そして君だ」と言われては、女性なら誰でもシビレてしまう。コートを華麗になびかせて、銀行のカウンターをひらりと飛び越える様は、今では滅多に見られないダンディな銀幕のスターそのものだ。美男美女の熱い恋に、1930年代のモダン・クラシックな衣装が華を添える。

 FBIに指名手配され命懸けの逃亡の中で、愛するビリーとの未来を夢見るロマンチシズムが切ない。デリンジャーという男は、殺人も辞さない犯罪者であることは間違いない。だが、映画は彼を運命的な恋に燃え尽きた男として描ききる。本作にはFBI捜査官のメルヴィンとの対決の構図もあるが、男臭くクールな映画を得意とするマイケル・マンは、意外にもラブ・ストーリーの方に比重を置いた。実在の銀行強盗ジョン・デリンジャーを、スタイリッシュでエレガントなアウトローとして描いたマン監督。彼も、どこかで太く短い人生に憧れるロマンチストなのかもしれない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)エレガント度:★★★★☆

□2009年 アメリカ映画 原題「PUBLIC ENEMIES」
□監督:マイケル・マン
□出演:ジョニー・デップ、クリスチャン・ベイル、マリオン・コティヤール、他

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