ローラーガールズ・ダイアリー [DVD]ローラーガールズ・ダイアリー [DVD]
◆プチレビュー◆
ワイルドなローラーゲームの躍動感とエンタテインメント性にビックリ!エレン・ペイジが好演だ。 【70点】

 テキサスの田舎町に住む17歳のブリスは、母親のために美人コンテストに出場しては落胆する自分自身に飽き飽きしていた。そんなある日、年齢も境遇もさまざまな女性たちが行なう“ローラーゲーム”に心を奪われる…。

 ドリュー・バリモアが「E.T.」で天才子役として名を馳せてから、どれほどの年月が経っただろう。その後の彼女はスターのお決まりで、ドラッグやアルコールなど、あらゆる悪癖を経験したが、10代にしてしっかりと蘇った。更正する強さを持ったドリューは、単に名門芸能一家に生まれたという運だけでなく、賢さとしたたかさを持った現代女性だ。既に製作は数多く手掛けている彼女が、念願の初監督に挑んだのが本作。選んだ題材が彼女らしく、青春スポ根エンタメと女の子の心の成長物語を組み合わせた明るい物語は、好感度が高い。

 ローラーゲームとは、ローラースケートとアゴ紐付きのヘルメットを付けた選手たちが集団になって狭いトラックを猛スピードで駆け抜けて得点を競う、アメリカ発祥のチームスポーツ。ワイルドなプレーや、セクシーな衣装、個性的なリンク名など、興行としての色合いが濃い。平凡な少女ブリスは、母親が女の幸せと信じて疑わない美人コンテスト優勝ではなく、流血も辞さず激しくぶつかり合うローラーゲームの中に自分の居場所を見い出して行く。

 トラックを一周回るたびに成長していくブリスは、生傷の絶えない日々の中で、年上のチームメートと友情を育み、ライバルチーム打倒に闘志を燃やすガッツ溢れる女の子へと変わっていく。バンドマンの青年との恋にもしっかりと自己主張するブリスの変化が微笑ましいが、引っ込み思案だった彼女に情熱をもたらすのはあくまでもローラーゲームだ。だが、家族に内緒にしていたチーム参加と、年齢を偽ったウソがばれてしまい、事態は思わぬ方向へ進んでいく。

 それにしてもエレン・ペイジはなんて魅力的な女優だろう。彼女は今まで風変わりで強気な女の子を演じてきたが、内向的で繊細な、いわば真逆な役を演じた本作では、丁寧な役作りが光った。母親の夢を壊すまいと必死なブリスは、たくましく変化しながらも、周囲を傷つけたくないと願う優しい女の子。そんなナイーヴなヒロインを“ジュノ”が演じているから面白い。ペイジの素直な演技が、ブリスのママを演じるオスカー女優マーシャ・ゲイ・ハーデンの名演と絶妙に絡み合う。自らの挫折感からブリスに幸福の価値観を押し付ける母親が、最後に娘にみせる愛情にはグッとくる。こんな母娘だから、ブリスが母のことを書いたスピーチ原稿に、本物の愛情を感じて感動してしまうのだ。

 70年代に人気だったローラーゲームは実は今も盛んで、この競技の中心地ロサンゼルスでは、女の子に特に大人気だそう。世界中に400以上のアマチュア・ローラーダービーリーグが存在することも始めて知った。過激なパフォーマンスで個性を主張する彼女たちは、誰よりもタフで美しい。この物語は、予想さえしなかった場所で輝いていくヒロインを通して描く、元気印の女性賛歌だ。転んで出来た青アザが、誇らしげな勲章に見える。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)自分探し度:★★★★★

□2009年 アメリカ映画 原題「WHIP IT」
□監督:ドリュー・バリモア
□出演:エレン・ペイジ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ジュリエット・ルイス、他

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