トイ・ストーリー3 [DVD]トイ・ストーリー3 [DVD]
◆プチレビュー◆
おもちゃの再出発というエモーショナルな展開で大人を泣かせる傑作。さよならの涙はこんなにも温かい。 【85点】

 おもちゃの持ち主アンディは大学生に。屋根裏に行くはずだったおもちゃたちは、手違いで託児施設に寄付されてしまうが、そこは凶暴な子供たちがいるトンデモナイ場所だった。カウボーイ人形のウッディはアンディの元に帰ろうとするが、残ったバズやジェシーら仲間たちに危機が迫っていることを知る…。

 おもちゃの世界の住人たちの冒険と友情を描いて大ヒットした「トイ・ストーリー」は、世界初の全編フルCGの長編アニメ映画だ。もともとは「ティン・トイ」という短編映画で、そのクオリティの高さから長編映画として再構築されたものである。奇想天外で楽しいおもちゃたちの世界や、人間とのかかわり、おもちゃ同士のライバル心や友情など、どれをとっても視点が新しく、傑作揃いのピクサー作品の中でも特別な存在だ。本作は3部作の最終章を飾るもの。テーマは“別れ”だというから、見る前から切なさがこみ上げた。

 そういえば、子供の頃、お気に入りだった人形やぬいぐるみは、どうしたっけ? ちゃんとお別れを言ったかしら? 映画は人間から遊んでもらえなくなったおもちゃの運命はどうなるのかという、思いもよらない問いを真剣に考えながら、人とおもちゃの両方の旅立ちを描くものだ。冒頭から、躍動するおもちゃたちの大活劇が登場し、観客の心をわしづかみにする。その後、おもちゃで遊ばなくなったアンディとの別れや、あるおもちゃによる陰謀がうずまくサニーサイド保育園での試練と脱出のサスペンス、ついにはゴミ捨て場での大アクション劇へとなだれこみ、一瞬も目が離せない。加えて今回は、バービーとケン、ひょんなことからラテン系になったバズの情熱的な恋というロマンスも。相変わらず、ピクサーのエンタメ度はおしゃれで手堅い。だが、シリーズ最高傑作と確信する本作の最も素晴らしいエッセンスは、最後の最後にやってくるおもちゃの運命の顛末にある。これには泣かされた。上手い。上手すぎる!
 
 もしや、私たち人間は自分が世界の中心だと思っている傲慢な存在なのか。その罪は、人間からひどい扱いを受けたおもちゃの歪んだ悲しみという形で跳ね返ってくる。兇暴な幼児が暴力そのものなら、陰謀を企むおもちゃの悪意の裏側には深い人間不信が。バズたちを罠にハメた彼らのことを単純に憎めないのはそのためだ。そして、懸命に主人のアンディを信じ続けるウッディの健気な思い。胸が締め付けられる。「僕らはアンディのおもちゃなんだ!」。その言葉は、おもちゃと人間という“種の違い”を越えた尊い絆と信頼の証だ。

 「トイ・ストーリー」はピクサー/ディズニーにとって、原点であり頂点でもある。おもちゃにとっての幸せとは? という問いかけは、結局は人間にとっての幸せとは? ということ。アンディとおもちゃとの別れには、子供が巣立っていくときの親の心情までもが浮かび上がる。必ずやってくる“さよなら”の時を受け止めることで、思い出は永遠のものに。ラスト、次世代に続くおもちゃの居場所には温かい未来と希望が用意され、大きな感動を届けてくれるはずだ。ピクサーアニメが世界を魅了するのは、映像のクオリティの高さと共に、物語が素晴らしいからというのは、言い尽くされた褒め言葉かもしれないが、あえてここでも繰り返して言おう。ストーリーが本当に素晴らしい。ジプシー・キングスが歌う「君はともだち」のメロディが流れれば、私たちは皆、おもちゃたちと過ごした幸福なあの頃へと戻ることができる。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)感動度:★★★★★

□2010年 アメリカ映画 原題「Toy Story 3」
□監督:リー・アンクリッチ
□出演:(声)トム・ハンクス、ティム・アレン、ジョーン・キューザック、他

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