ソウ ザ・ファイナル アンレイテッド・エディション [DVD]ソウ ザ・ファイナル アンレイテッド・エディション [DVD]
◆プチレビュー◆
人気シリーズ完結編は3Dで登場。意外なあの人の登場はやはり第一作が最高だったのだと確信した。 【50点】

 ジグソウの仕掛けた殺人ゲームから奇跡的に生還した人々は、心に深い傷を負っていた。そんな彼らが救いを求めたのが同じく生き残りで精神的指導者ボビー。だが実は彼には大きな秘密が。一方、ジグソウの妻ジルとホフマン刑事はジグソウの遺品を巡って激しく争っていた…。

 低予算ながらその奇想天外なアイデアと衝撃的な残酷描写で大ヒットシリーズとなった「ソウ」。限られた状況下に置かれた人間の極限状態をスリリングに描く“ソリッド・シチュエーション・ホラー/スリラー”というジャンルを確立した記念碑的作品だ。とはいえ、本当に唸る面白さだったのは最初だけ。その後は、肝心のジグソウが死んだあとも、だらだらとハロウィンシーズンの季節行事のように作品が公開され続けて、正直辟易していた。義務感だけで見続けてきたが、それも今回で終了となる。生きることと命の大切さを、過激すぎる方法で教えるジグソウの殺人ゲームで「ゲームオーバー」を宣言できる人物とは。つまり生き残るのは誰かということが最大の興味となるわけだ。

 第一作が2004年となるとファンといえども記憶が薄くなる。そこで映画冒頭にはご親切に“復習コーナー”が設置されている。名付けて「ソウ集編」。1作から6作までの経緯をざっとおさらいして本作に望むわけだが、今までの殺人ゲームの生き残りたちがこの完結編で鍵を握ることに。本作の中心人物であるボビーは、過酷なゲームから奇跡的に生還し、妻の愛によって再生したという設定だが、はて、彼はいったいどこに出てたっけ? しかもボビーはその著作によって大成功を収めているというではないか。この「あれ、こんな人、いた?」感が、今回のゲームのポイントだ。

 ついにファイナルを迎えた高揚感からか、初の3D導入の喜びからか、いつにも増して、恐怖と痛みの描写はすさまじい。ソウシリーズの人気は不条理かつ複雑な殺人マシーンにあり、冒頭からド肝を抜く残酷描写が用意されているのがお約束。だが、いくらファイナルだからといっても今回のプロローグはちょっとやりすぎだ。そもそも、いったいいつ、だれが、どうやってこの複雑な装置を作ったのかという疑問は、第1作目からあるのだが、それは人目につかない密室だからこそなんとか許せた。しかし本作のプロローグの殺人は公衆の面前で行われる。ストーリーの中での殺人の必然性よりも、いかに手の込んだ方法で処刑するかばかりに目がいくようになったシリーズの悪しき経緯を思わせるものだった。注目の3Dも残念ながら期待したほどではない。血しぶきが舞い、肉片が目の前に飛んでくる場面はあるにはあるが、ソウの殺人場面はゆっくりとじわじわと行われる“いたぶり系”のスプラッタ。スピード感や奥行きで効果を発揮する3Dはさほど必要だったとは思えない。

 繰り返して言うが「ソウ」は第1作が一番面白い。そんなファンの叫びが聞こえたかどうかは定かではないが、ボビーの試練と、ジルとホフマン刑事の死闘の後に、意外な人物が登場して「ゲームオーバー」を宣言する。自ら痛みを引き受け犠牲を厭わない人物だけが生き残るということなのかもしれない。ジグソウの死後の経緯や後継者という設定など、いろいろと文句はあるが、このシリーズを見続けてきた以上、ファイナルを見逃すわけにはいかない。僅かな予算から特大ヒットシリーズを生み、長年ファンを喜ばせてきた作り手たちの労をねぎらうためにも、見届けるのが礼儀なのだ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)3D効果度:★☆☆☆☆

□2010年 アメリカ映画 原題「Saw VII 3D」
□監督:ケヴィン・グルタート
□出演:トビン・ベル、ケアリー・エルウェズ、コスタス・マンディラー、他

  映画レビュー用BRバナー

←応援ポチ、よろ しくお願いします!