マチェーテ [DVD]マチェーテ [DVD]
◆プチレビュー◆
フェイク予告編がまさかの映画化。怪優ダニー・トレホが大暴れするバイオレンス映画はB級魂炸裂だ。 【60点】

 凄腕のメキシコ連邦捜査官マチェーテは麻薬王トーレスから妻子を殺され、自らも重傷を負う。3年後、一市民として生きていたマチェーテは、移民嫌いで極右の上院議員マクラフリン暗殺を半ば強引に依頼されるが…。

 タランティーノとロドリゲスが共作したB級映画へのオマージュ「グラインドハウス」の中に登場していた偽の予告編。激しく興味をそそったそのパイロット版がホントに映画になってしまった。これだけでも“事件”だが、主役はロドリゲス作品の常連で、すさまじい悪人顔のダニー・トレホ。しかも、ジェシカ・アルバやミシェル・ロドリゲスら美女たちから激モテなのだからスゴい。もちろん物語は荒唐無稽、エロスとバイオレンスがてんこもりだ。マチェーテが依頼された議員暗殺は実は罠で、その背後には憎き麻薬王が。マチェーテは不法移民たちと協力し、血で血を洗う過激な復讐劇を繰り広げる。

 主人公の名前でありトレードマークでもあるマチェーテとは、スペイン語で長刀のなたのこと。中南米では、農作物の伐採に使われるらしい。そんなモンを武器に戦うのだから、当然接近戦で、その戦いっぷりは、バカバカしくも痛々しい。手や首をバッサリ切り落とし、敵の腹を切り裂いて腸をロープ代わりにダイブするなど、次から次へと残酷描写が登場。マチェーテが行くところには死体の山が築かれるが、そんな中でも主人公や美女たちはほとんど不死身だ。リアリティ無視のムチャクチャな演出はまるでコミックの世界のようで、不思議な爽快感が。骨の髄までB級体質のロドリゲスらしいではないか。

 B級魂はストーリーや演出だけではなく、キャスティングでも炸裂している。移民嫌いのタカ派議員を名優ロバート・デニーロにやらせるのが過激なおふざけなら、麻薬王はB級アクションの権化スティーブン・セガールというニクい配役。なまじ武術の達人だけにセガール一人が浮いているのがビミョーに可笑しい。ラストのマチェーテとの対決には、無駄に本格的なアクションを披露したあげく、日本にゆかりのセガールならではの仰天の落とし前を付けてくれる。

 女性キャラもしかり。ロドリゲス作品の女性は、常にセクシーで刺激的だが、移民関税執行局職員役のジェシカ・アルバのシャワーシーンなど何の必要性があるのだろうか?と首をかしげる。女戦士ミシェル・ロドリゲスが持つ銃が常識はずれにデカいのも同様だ。だが、このデフォルメがロドリゲスの持ち味である。ついでに注目は、お騒がせセレブのリンジー・ローハン。ヤク中の金髪娘という役どころは、私生活とダブりすぎて苦笑ものだが、ヌードや尼僧姿のコスプレなど、ヤケクソ気味の気合が入っていて笑わせる。ジェシカ、ミシェル、リンジーの3人のキャラは、ぜひスピンオフで観てみたいものだ。

 復讐と贖罪を2本柱にしたマチェーテの戦いに味方するのは、面構えもりりしい不法移民たち。ガトリング銃付きのバイクを駆るマチェーテを助けるべく、車の車体をブンブン揺らして気勢をあげる。彼らが長刀を振り上げ銃をぶっ放すクライマックスは、ほとんどファンタジーだ。史上類をみないアウトローを誕生させたラテン・バイオレンスの快作は、マジメに“不真面目”をやっている。通俗的という意味ではこれ以上はないだろう。これぞB級映画の心意気だ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)バイオレンス度:★★★★★

□2010年 アメリカ映画 原題「MACHETE」
□監督:ロバート・ロドリゲス/イーサン・マニキス
□出演:ダニー・トレホ、ジェシカ・アルバ、スティーヴン・セガール、他

映画レビュー用BRバナー

←応援ポチ、よろしくお願いします!