ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 (1枚組) [DVD]ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 (1枚組) [DVD]
◆プチレビュー◆
物語も画面もひたすら暗く、まるでホラー映画。ハリーら3人の真の友情が試される。 【60点】

 17歳になり、魔法学校の最終学年7年生になったハリー。親友のロンとハーマイオニーと共に、宿敵ヴォルデモート卿の不死と抹殺の鍵である“分霊箱”を探す旅に出る。助けや導きは何一つない彼らに、次々と襲いかかる過酷な試練。ついに3人を引き裂く闇の力に屈してロンが離れていくが…。

 長い長いシリーズも第7作で遂に完結!…と言いたいところだが、クライマックスの「死の秘宝」は前・後編2部作で描かれ、本作はまずはPART1。もともとは3D映画になる予定が「完璧な状態でないなら3Dにしたくない!」との理由で2Dとして公開の運びとなった。物語には、魔法や学校生活でのワクワク感はなく、代わりにあるのは流血や拷問なのだから、ほとんどホラー映画だ。

 ダーク・ホラーであると同時に、本作はロード・ムービーでもある。ヴォルデモート卿の策略により、逃亡生活を余儀なくされたハリーたちは、寒々とした荒野や暗い森をさまよう。光など届かない世界に見えるが、そこにポツンと灯がともるテントの存在は、ハリーたちが残された唯一の希望である証だ。そんな彼らが知るのは、今は亡きダンブルドア校長の秘められた過去と、校長が3人に託した遺品が導く古い物語だ。ほとんど忘れられていた伝説「死の秘宝」のストーリーが、アジアンテイストの影絵のような映像で語られ、とても美しい。語られる3つの宝は、すべてが死にまつわるアイテムである。

 だが、もはや子供ではないハリーには、死は必ずや対峙しなくてはならない運命と同じ意味を持っている。強大な闇の力に立ち向かう責任も覚悟もあるハリーだが、それでも大切な仲間の絆が揺らぐのは何よりつらい。分霊箱のロケットが持つ邪悪な力がもたらす亀裂は、思春期特有の嫉妬心や劣等感を突く巧妙なもので、3人それぞれの心のわだかまりにもリアリティがある。余談だが、今回はハリーとハーマイオニーのセクシーなキスシーンがあるのが“事件”だ。ちょっとドキドキするが、同時にこんなに大人になって…と、しみじみとしてしまうのは、この物語をずっと大切に見守ってきたせいだろう。

 第4作「炎のゴブレット」で初めての犠牲者が出て以来、物語は命懸けの戦いの様相を呈している。今回もまたしかり。もの言わぬ心の友で、いつもハリーを見守ってくれた白フクロウのヘドウィグが懸命にハリーを守る場面は胸が張り裂けそうだし、屋敷しもべ妖精ドビーの運命も涙なくしては語れない。

 そんな本作の中にも、ほんの少しだがコミカルな要素がある。ヴォルデモートの追っ手からハリーを安全に逃がすため、不死鳥の騎士団の面々が魔法でハリーに変身し、なんと7人のハリーが登場する。主演のダニエル・ラドクリフ自身が一人7役で演じるこのシークエンスには、思わず吹き出してしまうセリフも。何しろ見た目はハリーだが中身は別人というそのギャップが可笑しい。

 夜明け前は最も暗い。何だかシリーズの5作目以降ずっと、暗い、暗いと言い続けているような気がするが、ハリーの過酷な運命は言うまでもなく、友情も愛情も不確かな本作の暗さはシリーズ屈指だ。シリアスというより悲壮、悲壮というより残酷。そんな殺伐とした空気が全体を覆っている。しかし、より激しい展開とカタルシスが待つであろうPART2への前奏曲が本作。目をそらすわけにはいかないのだ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ダーク度:★★★★★

□2010年 米・英合作映画 原題「HARRY POTTER AND THE DEATHLY HALLOWS:PART1」
□監督:デイビッド・イェーツ
□出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、他


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