クリスマス・ストーリー [DVD]クリスマス・ストーリー [DVD]
クリスマスに集まる家族のあたたかな物語…と思っていたら期待を裏切られる映画なので要注意だ。個人主義のフランス、自己主張のヨーロッパという構図が、愛憎に満ちた家族の中に見え隠れする。ある年のクリスマス。ヴュイヤール家では、母ジュノンの病気が発覚したことから、複雑な理由で疎遠になっていた子供たちが一堂に集まった。特に、絶縁されていた次男のアンリの登場は、皆の心をかき乱し、心の中に抱いていた不安や不満が露になっていく…。

母親を演じるのは大女優のカトリーヌ・ドヌーヴで、子供や孫たちでにぎわう一家の中心にどっしりと存在している。だがそれは私たち日本人が一般に考える愛情あふれる母親像とは大きくかけ離れたものだ。彼女には幼くして逝った子ジョゼフを含めて4人の子供がいるのだが、子供に対して好き嫌いがはっきりしていて、しかもそれを本人にズバリと言う。こんな母親に驚いてしまうのだが、子供たち同士もまた憎しみを隠そうともしない。そんなドラマチックな家族関係の中に、母ジュノンの白血病の治療のため骨髄移植が必要という事実が投げ込まれる。もっとも、血縁だからといって適合するわけでなく、嫌いな親族からの提供を母親が嫌がるところから、話が複雑になってくる。果たして誰のドナーが適合するのか。はたまた母ジュノンはそのドナーを受け入れるのか。決して和やかとは言えない登場人物たちだが、皆がなんらかの形で抱えている感情が“欠損”だ。それは多くの場合、死なのだが、時には病んだ精神による劣等感や、一人だけ異なる宗教、愛する女性をあきらめた諦念も。無理に分かりあおうとしないところや、そのままの形で自己主張することで本当の家族の姿が見えるところは好感が持てる描き方だ。物語は、問題児の次男アンリを激しく憎む長女エリザベートが戯曲家であることから、何か芝居じみたところもあるのだが、これもまた人生というつぶやきには、不思議な説得力があった。ドヌーヴとキアラ・マストロヤンニの母娘共演をはじめ、豪華キャストが集結。明確な結論やご都合主義の和解とは無縁な物語がフランス映画らしい。シビアなストーリーだが、どんな感情を持つにせよ、人は必ず誰かの役にたつ存在だし、支え合うことで初めて家族になれるのだというメッセージが、じんわりと伝わってきた。
【60点】
(原題「UN CONTE DE NOEL/A Christmas Tale」)
(フランス/アルノー・デプレシャン監督/カトリーヌ・ドヌーヴ、マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニ、他)
(愛憎度:★★★★☆)


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