グリーン・ホーネット [Blu-ray]グリーン・ホーネット [Blu-ray]
◆プチレビュー◆
鬼才ミシェル・ゴンドリーが往年のヒーローものを再構築。凸凹コンビの正義の定義がビミョーで可笑しい。 【60点】

 父の死によって、新聞社の二代目社長になった遊び人のブリットは、父のお抱え運転手で、発明の天才にして武術の達人カトーと知り合う。ひょんなことから友情が芽生えた彼らは、謎のヒーロー“グリーン・ホーネット”を名乗り、街の犯罪者退治を始めるのだが…。

 異色ヒーロー“グリーン・ホーネット”は、1930年代にラジオのドラマ・シリーズとして誕生。その後、映画シリーズ、コミック、1960年代にはTVドラマ・シリーズ化された、有名キャラだ。映画ファンの間では、60年代のTVドラマ・シリーズで、主人公ブリットの相棒カトーを、あのブルース・リーが演じて、スターダムにのしあがったことで知られている。ブルース・リーの伝説的な人気はさておき、これらの作品の本当の主人公は、お坊ちゃん育ちのブリットを助ける、武術の達人カトーその人だ。それは、今回のリメイクでより明確になり、おバカ社長ブリットとのデコボコぶりがより際立っている。

 グリーンのスーツとマスク、スーパー・ハイテク・カー“ブラック・ビューティー”を駆り、正体を隠して悪を一網打尽にする。一見、バットマン風のこの2人組ヒーローは、実はかなり屈折したキャラクターだ。何しろ、悪人退治をするために、自らが悪人のふりをする。その理由は、犯罪者と思われた方が正義を貫けるという理屈。悪を装い悪を刺すグリーン・ホーネット(緑のスズメバチ)というわけだが、その実情は、生まれて初めての人助けで調子に乗ったブリットが、思う存分“おイタ”をして楽しむためなのだ。悪人ならば、ヒーローのように清廉潔白である必要もない。さらに、極悪人を装うことで、本当に強いのはカトーだけで、自分はヘナチョコなのだとバレずにすむという姑息な思惑も。こんなヒーロー、見たことがない。ヘンな立ち位置のせいで、本物の極悪人である暗黒街の王チュドノフスキーの怒りを買うハメになる。

 そんな「ダメな2代目社長」と「イケてるおかかえ運転手」の物語のおかし味は、ちょっぴりズレたキャスティングによるところが大きい。日本ではイマイチだが、アメリカで超人気のコメディアンのセス・ローゲンと、台湾のミュージシャンで俳優としても活躍するジェイ・チョウという意外な組合せもさることながら、美人秘書のレノアが、恋愛モードになるわけでもない、単なる添え物扱いなのに、演じるのは、スター女優のキャメロン・ディアスという贅沢さ。加えてオスカー俳優クリストフ・ヴァルツを「イングロリアス・バスターズ」を彷彿とさせる、どこかネジがユルんだ暗黒街のボス役で起用。節操のないキャスティングが不思議な高揚感を醸し出して、なかなか楽しい。

 新聞社の偉大な創業者であった父の、思いがけない秘密を知り、さらにその秘密の裏側にあったもうひとつの真実を知ったことで、ブリットはついに“本気モード”に。そんな時でもボケてしまう彼の闘いぶりと、どこまでもクールでタフなカトーの秘策とは?!映像派ミシェル・ゴンドリーらしいセンスは、超絶的な武闘家カトーが持つ“カトー・ビジョン”に集約されている。ゆっくりと時間を遅らせてアクション映画の中にタメをつくるユニークな感覚が、ミュージック・ビデオ出身のゴンドリーらしい。おとぼけバディであるブリットとカトーは、主従関係とも、対等な相棒とも、ましてやライバルでもない、微妙な関係。何をしでかすか分からないところに面白みがある。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ノーテンキ度:★★★★☆

□2010年 アメリカ映画 原題「THE GREEN HORNET」
□監督:ミシェル・ゴンドリー
□出演:セス・ローゲン、ジェイ・チョウ、キャメロン・ディアス、他


にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!


映画レビュー用BRバナー

←応援ポチ、よろしくお願いします!


グリーン・ホーネット@ぴあ映画生活

グリーン・ホーネット(DVD) ◆20%OFF!

グリーン・ホーネット(DVD) ◆20%OFF!
価格:1,184円(税込、送料別)