悪魔を見た スペシャル・エディション [DVD]悪魔を見た スペシャル・エディション [DVD]
復讐ものは韓国映画の十八番。とはいえ、これほど強烈な作品は久しぶりだ。ここにはもはや善も悪もない。国家情報院捜査官のスヒョンは、殺人鬼に最愛の婚約者を殺される。無残なバラバラ死体を見たスヒョンは復讐を決意し、極秘で調査した結果、犯人は凶行を繰りかえすギョンチョルという中年男だと突き止める。スヒョンは彼を追いつめるが、あえてとどめを刺さず、GPSカプセルを飲み込ませ、野に放つ。ギョンチョルが犯行に及ぶ直前に現われ、残虐な制裁を加えるスヒョン。やがて死闘はエスカレートし、予測不能な展開になっていく…。

犯罪者への復讐の成就の基準とはなんだろう。相手を殺すことか、それとも生きながらに苦しめることか、はたまた心から反省して善人になってもらうことなのか。婚約者を奪われたスヒョンは、国家情報院捜査官という仕事柄、武器やGPSカプセルなども使えるし、そもそも卓越した格闘能力で相手に止めを刺すことも可能なのだ。だが彼はそうしない。サイコキラーのギョンチョルに、肉体的な苦痛を与えて追いつめていこうとする算段なのだ。だが物事は思い通りにはいかないもので、このギョンチョルという男、いったいどういう育ち方をしたのか、まったく反省の色がない。“性懲りもなく”とはこの男のためにある言葉で、これでは制裁を加えているスヒョンの方がくたびれもうけに思えてくるほどだ。しかしスヒョンもまた純粋な悪に深くかかわることで、自らも悪の化身になっていくところがこの作品の濃密なところだ。こうなるともう、完全に無法地帯である。そもそも、映画に登場する名悪役は、善悪を超越したところで悟りにも似た静かな境地にいるもの。だがこのギョンチョルときたら、食欲、性欲ともに旺盛で、生々しいことこの上ない。名優のチェ・ミンシクの鬼気迫る名演には、ほのかなユーモアも混じっていて、さすがは韓国映画界一の演技派だと唸ってしまう。ギャアギャアと叫びまくるチェ・ミンシクが“陽”のキャラなら、見た目は冷静だが、中身は完全に狂っているスヒョンを演じるイ・ビョンホンは“陰”のキャラ。そんな二人は磁石のプラスとマイナスのように引かれ合い、相対して決着を着けるときがくる。これがまるで“ソウ”シリーズのような様相を呈するのが違和感があるのだが、こういうけれん味こそが本作の壮絶な復讐劇にはふさわしいのかもしれない。ちなみに、司法の側の人間はいったい何をしているのか?とツッコミを入れたくなるが、韓国映画の復讐ものにそんなヤボは言わないのがお約束だ。
【65点】
(原題「I SAW THE DEVIL」)
(韓国/キム・ジウン監督/イ・ビョンホン/チェ・ミンシク/オ・サナ、他)
(インパクト度:★★★★★)


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