キラー・インサイド・ミー [DVD]キラー・インサイド・ミー [DVD]
封印されていた暴力への激しい欲望に、答えなどない。共感できない主人公を、淡々と演じるケイシー・アフレックが不気味なほど上手い。

1950年代のテキサスの田舎町。ルーは、街の誰からも頼られる仕事熱心な保安官助手で、幼馴染の女性教師エイミーという恋人もいる好青年だ。そんな彼は上司の命令で、町外れに住む娼婦のジョイスを立ち退かせようとするが、逆に彼女に強く惹かれてしまい、情事に溺れるようになる。ある日、ジョイスから彼女に夢中のエルマーと、その父で街の有力者のチェスターを罠にハメて金を奪う計画を持ちかけられる。ジョイスとの出会いから、長年封じ込めていた残虐性があらわになったルーだったが、計画は思わぬ方向へ転がり始める…。

原作は、アメリカの代表的なフィルム・ノワール作家ジム・トンプスンの「おれの中の殺し屋」。主人公ルーは子供のころに亡くした兄の死への復讐を秘めて、ジョイスの計画に乗るように思えるが、本当は彼の心の奥に眠っていた暴力と殺人の衝動を、開放する機会をずっと待っていたのかもしれない。彼は、平和と退屈の隙間に紛れ込んだ異分子で、汚れた存在である娼婦の中に、自分が本当になりたいと願う姿を見たに違いない。「すぐ終わる。すまない。愛してる」と優しさと哀れみの言葉を囁きながら、ジョイスを殴り殺すルー。彼は、刺激のかけらもない自分という存在そのものを破壊しているのだ。こんな破滅願望は、誰の胸にも秘められているのだろうか。ルーがあからさまな異常者ではなく、孤独や痛みを内包するごく当たり前の人間だけに、繰り返される殺人や凶行の答えを導き出すことが恐ろしくなる。何より、現代にはびこる動機なき犯罪の芽が、平和で豊かなはずの1950年代の米国の田舎町に、すでにどす黒く芽生えていたことに戦慄を覚えた。
【60点】
(原題「THE KILLER INSIDE ME」)
(米・スウェーデン・英・加/マイケル・ウィンターボトム監督/ケイシー・アフレック、ケイト・ハドソン、ジェシカ・アルバ、他)
(共感度:★☆☆☆☆)

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