ブラック・スワン (ナタリー・ポートマン 主演) [DVD]ブラック・スワン (ナタリー・ポートマン 主演) [DVD]
◆プチレビュー◆
バレリーナの狂気を描く心理劇はまるでサイコ・ホラー。ナタリー・ポートマンの入魂の演技が最高だ。 【85点】

 幼い頃からバレエ一筋に励んできた生真面目なニナは「白鳥の湖」の主役に抜擢されて喜ぶ。だが、純真で汚れのない白鳥は踊れても、狡猾でセクシーな黒鳥の踊りがつかめずに悩む。奔放で妖艶な新人バレリーナのリリーの存在もあり、ニナは次第に精神的に追いつめられていく…。

 これは心の迷宮に迷い込む物語だ。プリマに抜擢された内気なニナは、プレッシャーから狂気をはらんでいき、やがて悪の化身である黒鳥そのものになっていく。物語の途中では、皮膚や指先から血を流し、足首をねじるなど、痛い描写も満載。黒鳥とは、実はニナの深層心理だ。その証拠に、ニナは自分の分身さえ見てしまう。こうなるとほとんどホラー映画である。

 自分を支配する母親、過剰な要求をする芸術監督、主役の座を脅かす新人。何より役への苦悩。これらすべてに追いつめられるニナと同様に、観客も、現実と妄想の境界を見失う。スタジオや楽屋にある鏡が、無数のニナを具現化していく演出が効果的で素晴らしい。クライマックスの舞台では、文字通り、黒鳥と化すニナに、見ているこちらも鳥肌がたった。

 作品を支えるのは何と言っても9キロも減量し過酷なバレエのトレーニングに耐えて熱演したナタリー・ポートマンの存在だろう。たとえ汚れ役を演じてもどこか優等生のようなイメージだった彼女だからこそ、ニナ役がピタリとハマッた。オスカー受賞も納得の熱演で、本作が、この小柄な美人女優の代表作になるのは間違いない。

 同時にこの映画は、個性派監督アロノフスキーの代表作にもなろう。何かに取り憑かれ、ついに自分を見失う展開は、初期作品「パイ」や「レクイエム・フォー・ドリーム」と同じ軌道にある。そこに、役者の魅力を最大限に引き出した「レスラー」の演出力が加わったのが「ブラック・スワン」の迷宮世界なのだ。一歩間違えば陳腐になる心理サスペンスを、見事なエンタメ作品として仕上げたダーレン・アロノフスキー。今、最も目が離せない監督の一人である。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)狂気度:★★★★★

□2010年 アメリカ映画 原題「BLACK SWAN」
□監督:ダーレン・アロノフスキー
□出演:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、他




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ブラック・スワン@ぴあ映画生活