軽蔑 ディレクターズ・カット [DVD]軽蔑 ディレクターズ・カット [DVD]
破滅型の愛のドラマは、ただ愛し合っているだけでは幸せにはなれない男女の運命を描く。若手実力派の高良健吾と鈴木杏は熱演だが、作品の手触りがあまりに古臭い。

新宿・歌舞伎町にたむろし、堕落した生活を送る青年カズと、ポールダンサーの真知子は、激しく惹かれあう。問題を起こして東京から去ることになったカズは、真知子を伴って実家がある田舎で暮らし始めるが、そこで彼らを歓迎するものはいなかった。やがて真知子は東京に帰ることに。それでも自分を連れ戻しにきたカズとの愛を守ろうとする真知子だったが、カズは高利貸しの山畑に多額の借金を作っていた…。

原作は、“紀州サーガ”で知られ、破滅的な人間の愛を描き続けた芥川賞作家の中上健次の最後の長編小説だ。「男と女は五分と五分」というフレーズが物語を象徴するのだが、残念ながらこの映画ではその言葉の深みが感じられない。さらには、携帯電話という小道具がなかったら、昭和の時代の物語かと思ってしまう。つまり今の息吹が感じられないのだ。地方の名家の一人息子で甘やかされて育ち真面目に生きる道を知らないカズはなぜか周囲に愛されるが、カズの故郷で一人孤立しながらも命懸けで愛を貫こうとする真知子はここでは五分ではいられないことを理解していて、最初から「こうなることは分かっていた」。本作の高良健吾と鈴木杏は大胆なベッドシーンも含めて熱演なのだが、どこか冷めて線が細い現代の若者というムードが漂う。そんな“今”の俳優と、中上作品の世界の情念そのものが、すでにフィットしなくなっているのかもしれない。廣木作品の特徴である、疾走する場面は、破滅へ向かう物語の中、行き場のない純愛に殉じるようで美しく、記憶に残るシーンだった。
【50点】
(原題「軽蔑」)
(日本/廣木隆一監督/高良健吾、鈴木杏、大森南朋、他)
(泥沼度:★★★★☆)
チケットぴあ



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