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松本人志監督作品第3弾「さや侍」は、野見隆明という“素人”を独特の演出で使ったことが異化効果になっている。過去作品に比べ格段に分かりやすい。

ある事情で、刀を捨てた侍・勘十郎と、そんな父を軽蔑し反発する幼い娘・たえの2人は、行くあてもなく旅を続けていた。だが、無断で脱藩した勘十郎には、懸賞金がかけられていて、とうとう捕まってしまう。捕えられた藩の殿様は変わり者で、勘十郎に対し“30日の業”を課す。それに成功すると無罪放免になるのだが、その業とは、母君の死で虚脱状態になった若君を笑わせるというものだった…。

笑いを取るために、どじょうすくいや人間大砲など、次から次へと一発芸を披露しては失敗し、家老から「切腹を申し付ける!」と宣言される。映画の大半はこの繰り返しだ。とはいえ、物語は、かなりオーソドックスなもので、父と娘の葛藤、やがて生まれる絆、侍としての誇りという、分かりやすく一般受けするテーマが描かれる。主人公の勘十郎が寡黙なのに対し、周囲の賞金稼ぎや牢の見張り番は、非常に饒舌。セリフで事細かに状況を説明するのが、少々気になるが、驚きはラストにやってくる。延々と続くギャグで見る者の感覚を麻痺させたところで、主人公を熾烈な運命に導き、観客を絶句させる展開には、驚かされた。随所にトンデモない設定が仕込まれてはいるが、よくよく考えれば、起承転結に添ったこの映画、映画の常識を打ち破ることからスタートしたはずの松本監督は、3作目で“基本”の重要性に気付いたのかもしれない。勘十郎を演じるのは、バラエティー番組「働くおっさん劇場」で人気を博していた野見隆明。まったくの素人を主役に起用するのが個性的なら、その彼に映画の詳細を一切知らせず、台本さえ渡さないという演出法は型破りだ。「大日本人」「しんぼる」と不条理劇を作ってきた松本監督は、今回は、演出法でそれまでの映画のセオリーを“ぶっ壊す”。映画の真ん中に野見隆明を放り込んで放し飼いにしたところに、本作最大の“個性”があった。
【60点】
(原題「さや侍」)
(日本/松本人志監督/野見隆明、熊田聖亜、他)
(異化効果度:★★★★☆)
チケットぴあ


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