127時間 (ダニー・ボイル、サイモン・ビューフォイ 監督) [DVD]127時間 (ダニー・ボイル、サイモン・ビューフォイ 監督) [DVD]
◆プチレビュー◆
“動かないアクション・ヒーロー”を技巧をこらした映像で活写。「127時間」は実話ならではの感動が沸き上がる。 【85点】

 クライマーのアーロンは、思わぬアクシデントで谷底に落下し、巨岩に右腕を挟まれ動けなくなる。所持していたビデオで記録を取りつつも、助けを呼ぶことさえ出来ない。水や食料も尽き、時間だけが過ぎていくが…。

 この物語は実在の登山家、アーロン・ラルストンの身に実際に起こった出来事だ。登場人物は実質アーロンただ一人、しかも彼は狭い谷底でほとんど身動きできない。こんな設定なのに、映画は素晴らしい躍動感に満ちている。MTVを思わせるポップな映像で始まり、ユタ州ブルー・ジョン・キャニオンへと一気に到着。大自然の広大な景観で魅了したかと思えば、あっという間に閉塞的な谷底へ。そこから主人公の生きるための闘いが始まる。

 決してあきらめず、絶望的な状況を何とか打破しようと奮闘するアーロンの現在と、孤独な谷底で初めて見つめ直す後悔だらけの過去を、鮮やかに対比させた演出が素晴らしい。陽気で開放的なのにどこかクールなアーロンは、自分勝手に生きて、家族や恋人をないがしろにしてきたことを改めて思い知る。そのことが、何としてでも生還し“生き直したい”と彼に切望させるのだが、そのためには文字通り、究極の決断を選択せねばならなかった。

 自分自身で下すその“決断”は、かなり衝撃的なもので、全米公開時は失神する観客も出たらしい。なるほどそのシーンは、正視するにはハードすぎるが、同時に解放感と達成感も味わえるから不思議だ。何が何でも生きてやる!との主人公の強い決意が、原始的な感動となって観る者を圧倒する。

 ほぼ一人芝居のジェームズ・フランコが多彩な演技で熱演し、一瞬も飽きさせない。巨岩に右腕を挟まれた“127時間の人生”を見事に演じきった。絶望の底でたった一人で示した勇気は、大きな感動と共に語り継がれることだろう。ユニークな設定と巧みなストーリーテリングのこの秀作には、人生への前向きなメッセージがある。予測不可能な大自然というフィルターを通して、日常生活の中では見えにくい“生への渇望”を、鮮やかな筆致で教えてくれた。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)生命力度:★★★★★

□2010年 米・英合作映画 原題「127HOURS」
□監督:ダニー・ボイル
□出演:ジェームズ・フランコ、アンバー・タンブリン、ケイト・マーラ、他
チケットぴあ



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