未来を生きる君たちへ [Blu-ray]未来を生きる君たちへ [Blu-ray]
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◆プチレビュー◆
報復と赦しの狭間で揺れ動く2つの世代の物語。俊英スサンネ・ビアによる感動作だ。 【80点】

 デンマーク。学校で執拗なイジメにあうエリアスは、アフリカで働く医師の父アントンを誇りにしている。ある日、転校生のクリスチャンがエリアスをかばい、いじめっ子に仕返しをしたことから、二人は急速に親しくなるが…。

 アフリカとデンマークという対照的な二つの場所を行き来する物語は、そのテーマにおいても、二律背反の命題を孕んでいる。報復と赦し。個人と世界。愛と憎しみ。生と死。それらはコインの表と裏のように分かち難いものだ。父アントンは医師として難民キャンプに運ばれた極悪人を助けるべきかと問われるし、息子エリアスは、やられたらやり返すことが果たして正しいのかと悩む。

 一方で、母を亡くし心に傷を負ったクリスチャンは、報復は当然だと疑わない少年だ。彼には、殴られても殴り返さず「報復は間違っている」「戦争はそうやって始まる」と説く父親たちの声も届かない。理屈は分かる。だが、頭では理解できても心が“ノー”というその気持ちもまた真実だ。

 スサンネ・ビア監督の作品が心を打つのは、善悪では割り切れない事態に直面したとき、登場人物を断罪せず、彼らの選択の先にある未来を見据えるからだ。クライマックス、少年たちが、手製の爆弾で報復行為を行った顛末を見ればわかるだろう。二組の家族を絶望の淵に追いやりながらも、希望の光で包み込むラストに、上質な感動が広がっていく。

 ごく身近で個人的な出来事から始まり、いつのまにか、グローバルな問題を浮き彫りにする語り口は、いつもながら見事だ。現代に横たわる戦争やテロの原因は複雑で、簡単には解決しない。それでもこの物語は、個人レベルでの赦しがすべての始まりだと教えてくれる。報復や赦しの是非ではなく、負のスパイラルを断ち切ることで、この世界がどう変わるか。それを知りたくなる。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)問題提起度:★★★★☆

□2010年 デンマーク・スウェーデン合作映画  
 原題「HAEVNEN/IN A BETTER WORLD」
□監督:スサンネ・ビア
□出演:ミカエル・パーシュブラント、トリーネ・ディアホルム、ウルリッヒ・トムセン、他



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