ミケランジェロの暗号 [Blu-ray]ミケランジェロの暗号 [Blu-ray]
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◆プチレビュー◆
運命の鍵を握るのはミケランジェロの幻の名画。「ミケランジェロの暗号」は、知的なユーモアが漂う娯楽サスペンスだ。 【70点】

 ナチス・ドイツが台頭する不穏な時代。裕福なユダヤ人の画商カウフマン家は、ミケランジェロの幻の絵画を所有していた。ナチスはその国宝級の素描を政治に利用するため、作品を没収するが、その絵は贋作と判明。一家の息子ヴィクトルは、命がけで本物の絵を探すことになる…。

 脚本家のポール・ヘンゲは、実際にナチスの恐怖の時代を生き抜いた人物で、ユダヤ人の財産没収は歴史的事実だ。映画は、ユダヤ人迫害の悲劇を背景とするが、物語はむしろ、知恵と勇気で狂気の時代を生き抜く、痛快なサバイバル・サスペンスとして楽しめる。切り札は、天才ミケランジェロの幻の絵画だ。

 モーゼの彫刻のためのその素描は、本物と贋物の間を、振り子のように行き来しながら、多くの人間の運命を転がしていく。ヒトラーはこの絵をムッソリーニへのご機嫌取りのプレゼントにしようとし、カウフマン家の使用人だったルディは、絵を利用してゲシュタポでの出世を企む。カウフマン家の当主は強制収用所で命を落としたが“謎の暗号”を残していた。父が残したその謎を解きながら、ヴィクトルが生き残るためにとった作戦が、なんと、ゲシュタポのルディと入れ替わるという奇想天外なもの。本物と贋物は、絵だけでなく、ユダヤ人がナチスのふりをすることで、複雑な二重構造を持つというわけだ。

 ヴィクトルを演じる、ドイツの若き演技派モーリッツ・ブライプトロイは、どちらかというと悪人顔なのだが、ここでは生命力に満ちた主人公を魅力たっぷりに演じている。悲劇的な状況にも関わらず、常にユーモアを忘れないヴィクトルは、迫害されるユダヤ人の犠牲者というよりヒーローに見える。

 数年前に、ミケランジェロの作とされる未発表の絵画が発見され、大ニュースになった。真偽は別として、このような発見は、歴史の隠し扉のようでワクワクする。思うに、本物というのは、収まるべきところに収まってこそ真の本物たりうるのではないか。物語は、ヴィクトルの母親を、手に汗握る駆け引きで救出した後、あっさりと終戦となる。だが狡猾にも画商に収まったルディに対して、ヴィクトルが打つ“最後の大勝負”が本当のクライマックスだ。ミケランジェロがウィンクしたかのようなラストは、爽快で胸がすく。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)エンタテインメント度:★★★★☆

□2010年 オーストリア映画 原題「MY BEST ENEMY/Mein Bester Feind」
□監督:ウォルフガング・ムルンベルガー
□出演:モーリッツ・ブライプトロイ、ゲオルク・フリードリヒ、ウルズラ・シュトラウス、他


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