ウィンターズ・ボーン スペシャル・エディション [Blu-ray]ウィンターズ・ボーン スペシャル・エディション [Blu-ray]
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◆プチレビュー◆
父を探す少女の過酷な旅を描く秀作「ウィンターズ・ボーン」。ジェニファー・ローレンスが圧倒的に素晴らしい。 【85点】

 ミズーリ州の貧しい山村に住む少女リーは、心を病んだ母と幼い弟妹の面倒を見ながら、その日暮らしで懸命に生きていた。しかし、逮捕された父が裁判を放棄して失踪したことから家と土地を失う危機に。立ち退くまで残された期間は1週間。家族を守るため、リーは父を探す過酷な旅に出る…。

 寒々しく荒涼とした風土、貧困と薬物中毒の蔓延、独特の掟に縛られた閉鎖的な山岳文化。ここは、本当に“豊かな”アメリカなのかと目を疑う。そんな土地で生きるヒロインは17歳。青春真っ只中で、本来は大人に守られるべき存在だが、父は失踪、母は廃人同様、弟妹はまだ幼く、食べるものにも事欠く暮らしの彼女の環境は、甘い幻想を許さない。

 「私が父を探す。絶対に見つけてみせる」。どん底の生活の中で、必死に一家を支えるのは、命を懸けても守りたい家族があるからだ。ドラッグディーラーだった父が、地域共同体のルールを破ったらしいことが薄々わかってくるが、大人たちがひるんで見て見ぬふりをする裏社会の掟の前でも、リーは決して引き下がらない。何の武器も持たない彼女が、次第に凛々しい戦士に見えてくる。

 やがて父の死が現実的になり、死亡した証拠を見つけることが、唯一、家族を守る手段となる。探すのは父ではなく、父の骨。この時リーは、旅が自分を闇の中の真実へと導く地獄巡りだったことを知る。すべてを知る女たちが提示した解決策は、直視できないほど残酷なものだ。これは、十分すぎるほど家族を守っていた少女に与えられた、さらにハードな通過儀礼なのだ。

 主人公リーを演じるジェニファー・ローレンスは、まだどこかあどけない表情を持つ美少女だが、決してへこたれないタフなヒロインを演じて、圧倒的な力強さがある。どんなに悲惨な状況でも、誰かに助けを求めるのではなく、自分の手でケリをつける。この物語は、わずか17歳の少女が、アメリカ伝統の自立自助のスピリットを、満身創痍になりながら体現してみせた魂の旅路だ。あきらめることに慣れた大人の想像を超えた勇気。それが、閉塞感に満ちたアメリカ社会の希望と重なってみえることが、感動の震源となっている。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)力強さ度:★★★★☆

□2010年 アメリカ映画 原題「WINTER'S BONE」
□監督:デブラ・グラニック
□出演:ジェニファー・ローレンス、ジョン・ホークス、ケヴィン・ブレズナハン、他



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ウィンターズ・ボーン@ぴあ映画生活