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◆プチレビュー◆
笑って泣けて、そして感動するSFコメディ「宇宙人ポール」。外国人から見たアメリカ文化評としても楽しめる。 【75点】

 SFおたくのイギリス人青年、クライブとグレアムは、長年の夢だったコミックの祭典「コミコン」と、アメリカ西部のUFOスポット巡りを満喫していた。旅の途中、彼らは“エリア51”で本物の宇宙人ポールと遭遇。激しく驚きつつも、ポールを故郷の星へと帰すために悪戦苦闘するハメになる…。

 UFOマニアの聖地であるネバダ州“エリア51”には、さまざまな伝説がある。多くの映画で描かれたその場所で、リアル宇宙人に会えたのは嬉しい驚きだが、ポールと名乗るこの宇宙人ときたら、英語が達者で、陽気でフレンドリー、下品でお調子者という困ったヤツだ。実は政府によって囚われていたというポールが、半世紀にわたり、アメリカのサブ・カルチャーに、多大な影響を与えていたという設定は、SFファンならずとも思わずニヤリとしてしまう。

 外国人から見たアメリカ文化を語るのに、サイモン・ペッグとニック・フロストという英国コメディ界の名コンビを配したのが何より上手い点だ。世界をリードするポップカルチャーの震源地であるアメリカは、同時に、狂信的な宗教や、銃依存の体質、さらには異文化を否定する保守的な思想をも内包する矛盾した大国だ。故郷の星へと戻ろうとするポールを強制的に捕獲しようとする謎の組織には、管理社会による恐怖政治の匂いさえする。英国発のこのコメディの批判精神は、笑いのオブラードに包まれてはいるが、思いのほか鋭い。

 そんな批判精神と共に見逃せないのは、劇中に散りばめられた、多くのアメリカ映画の名作へのオマージュだ。ポールが電話でヒントを与えているのは、無論「E.T.」のスティーブン・スピルバーグ監督だし、ポールを捕獲しようとする組織の親玉は、「エイリアン」シリーズのシガニー・ウィーバー。排他的な住民から迫害されながらの旅は「イージー・ライダー」そのものだし、町の映画館では「激突!」が上映されている。微細な目配りが実に楽しい。

 固い絆と熱い友情で結ばれたポールと同行者たちの旅の最終地点には、人類の想像を絶する驚きの光景が待っている。ポールというその名の由来を知ったとき、不覚にも目頭が熱くなった。進化論の是非はさておき、ポールみたいな地球外生物に会えたなら、どんなに愉快なことだろう。逃避行スタイルのロード・ムービーは、映画ファンを夢中にさせるパロディと、小粋なセンスの感動が詰まった快作。何より、いろいろと問題はあっても、やっぱりアメリカという国への愛を表明する、勇気あるメッセージを感じるのだ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)笑って泣けます度:★★★★★

□2010年 米・英合作映画 原題「PAUL」
□監督:グレッグ・モットーラ
□出演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、ジェイソン・ベイトマン、他
チケットぴあ


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