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◆プチレビュー◆
ヒリヒリする痛みの後に、かすかな希望の灯が見える青春映画「ヒミズ」。主演の若手俳優二人が素晴らしい。 【75点】

 15歳の中学生、住田の願いは“普通の大人になること”。一方、住田に興味を持つクラスメートの少女・茶沢の夢は、愛する人と守り守られ生きること。だが、住田が、暴挙を繰り返す父親を衝動的に殺してしまったことから、住田の、そして茶沢の人生は大きく狂っていく…。

 日本映画界屈指の鬼才・園子温監督の新作は、またしてもスゴイ作品だ。だが本作は、今までの作風とは少し違う。これまでオリジナル脚本にこだわってきた園監督が初めて原作ものに挑んでいるのだ。原作は、多くの著名人から支持されている古谷実の同名漫画。さらに今回のハードな青春映画には、それまで過剰なまでにたたきつけられていた、性的な要素はほとんどない。共に両親の愛を持たない住田と茶沢は、純粋に人生について悩んでいる状態なのだ。

 例によって主人公を取り巻く環境は壮絶である。貸しボート屋を営む住田の家は、母親は男と逃げ、父は時々戻っては金を無心し暴力を振う。ボート小屋の周辺に住むホームレスらと共に何とか生きている住田はそれでも必死に叫ぶ。「こんな定番の不幸話じゃへこたれねーぞ!オレは立派な大人になるんだ!」。あまりにも悲しすぎる住田の心は、限界を超えていた。本来は子を愛すべき親が、子を憎む。その結果が、絶望と狂気の“オマケ人生”を生む。

 だが、そんな状態でも希望を忘れていないのが、今までの園作品とは、大きく異なる点だ。罪を犯し続ける住田を慕う茶沢の環境もまたすさまじいものだが、彼女は愛を決してあきらめない。過剰にエキセントリックな茶沢は、住田を救うために奔走する。ぶつかりながら繋がっていく二人を演じる、染谷将太と二階堂ふみのみずみずしい演技には、圧倒的な感動を覚える。

 ヒミズとは、モグラ科の哺乳類で“日不見”という字を当てるという。日を見ない動物になりたいとつぶやいた住田に、この物語は最後の最後で、救いを与えている。原作から変更されたのは、設定を東日本大震災後の日本にしたこと。終わらない平和な日常など、もはやない。私たちは終わりなき“非日常”を生きていかねばならない。だからこそ希望が必要なのだ。走り、叫び、全身で愛を求める住田と茶沢のように。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)衝撃度:★★★★★

□2011年 日本映画 原題「ヒミズ」
□監督:園子温
□出演:染谷将太、二階堂ふみ、窪塚洋介、他
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