アダム・サンドラーが男女の双子をCGなしで演じるコメディ「ジャックとジル」。名優アル・パチーノのはじけた姿に唖然。
LAの広告代理店の重役ジャックは美しい妻と子供に囲まれ、優雅に暮らしている。そんな彼のただひとつの悩みは、今年も、双子の妹ジルが感謝祭にNYからやってくることだ。40代で独身、天真爛漫でハイテンションなこの妹は、いつもトラブルを巻き起こす。ある日、仕方なくジルに付き合って観戦していたバスケの試合で、偶然試合を見に来ていたアル・パチーノがジルにひと目惚れ!パチーノにまるで関心がないジルとは裏腹に、ジャックはなんとかパチーノに、自分のスポンサーのドーナツのCMに出演してもらうおうと画策するのだが…。
アダム・サンドラーはコメディ・センスの違いからか、日本での人気はいまひとつ。だが、本作の笑いはかなり分かりやすい。双子という素材を十分に生かし、CGなしで一人二役、爆笑ものの女装、一つの場面で同じ動きを見せるヴィジュアルの面白さは、単純だが愉快だ。キャラも、一人はエリートの勝ち組、一人はかなりイタい性格の負け組とメリハリがある。もっとも物語は手垢がついたもの。一族に一人はいる“困ったちゃん”にさんざん振り回された主人公が、ブチ切れた後に、自分の傲慢さと大切な家族の存在に気付くというテッパンのストーリーだ。ではこの映画の見所は? それはかの名優アル・パチーノの怪演に他ならない。長年さまざまな役に没頭してきたパチーノは、現実と役柄の区別が曖昧になる狂気の老俳優を演じるが、これがかなりの確率で本人とカブる。パチーノに関心がないジルが、彼の家に飾ってあるオスカー像を誤って壊したときのセリフがいい。「ごめんなさい。でも他にもあるわよね?」「名優なんて言われてるけど、実はこれ一つだけなんだ」。これには思わず吹き出して笑ってしまった。おおらかに自分自身を演じるパチーノは、舞台の上で携帯で話し込み、豪華客船にヘリで乗りつけるなど、やりたい放題。ついには歌って踊る。これを見るだけでも本作を見る価値がある。主演のサンドラーの熱演よりもパチーノのはじけっぷりが勝ったのは苦笑ものだが、これまた本人役でチラリと登場するジョニー・デップの姿も拝めるおまけ付きなのだから、まぁ、良しとしよう。
【50点】
(原題「JACK AND JILL」)
(アメリカ/デニス・デューガン監督/アダム・サンドラー、ケイティ・ホームズ、アル・パチーノ、他)
(豪華ゲスト度:★★★★☆)
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