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◆プチレビュー◆
心のロード・ムービー「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」。国家的で特殊なトラウマの克服を、一人の子供の視点で描くスタイルが素晴らしい。  【85点】

 大好きな父を9.11同時多発テロで失った少年オスカーは、父の死を受け入れられず、傷ついた心を抱えて一人悩んでいた。そんな時、父が残した1本の鍵とブラックと書かれたメモを見つける。謎の鍵に合う鍵穴と“ブラックさん”を探してNY中を奔走するオスカーだったが…。

 少年にとって、大好きな父親はヒーローで世界のすべてだ。だが、9.11はそんな父を何の理由もなく奪った。この理不尽をオスカーは理解できず、遺体がない空っぽの棺の葬儀も、まやかしとしか思えない。これは、愛する者を奪われ、取り残された少年が、悲しみとどう折り合いをつけ、どう立ち直るかを描く、ユニークでスリリングな旅の物語である。

 父からのメッセージを探そう。そう思いつめたオスカーの冒険は、それでもどこか楽しさにあふれていた。危険な街へ繰り出す覚悟は子供ながらに出来ていて、毎日訪ねる様々な人との出会いは、オスカーを少しずつ成長させていた。だからこそ、ついに鍵の秘密を握る人物に出会ったとき、オスカーは自分がとった取り返しのつかない行動を口にすることができる。オスカーが父の死を引きのばしていたのはなぜか。彼の苦悩に誰もが涙するだろう。

 子役のトーマス・ホーンは、演技はほとんど未経験だそうだが、その自然で繊細なたたずまいは天性のものだ。不安な気持ちをタンバリンで鼓舞し、472人のNYのブラックさんを探す綿密な計画を立て、街を駆け回る彼の奮闘に、私たちは寄り添わずにはいられない。特に、言葉をいっさい発しないマックス・フォン・シドー演じる老人との“会話”は味わい深い。心に傷を負う者同士の哀しみと思いやり。本作が映画デビューの少年がこれほどの感動をもたらすとは。

 さて、少年と父親の絆の前で、母親はどうしていたのか。夫の死を嘆き、息子と上手く接することが出来ずにいる無気力な母リンダの存在感はあまりに薄い。だが、終盤、彼女は“大逆転”を演じることになる。どれほど悲しみに打ちひしがれようと、子供を愛し守ることを決して止めない母の強さに私たちはノックアウトされる。そしてこれが、少年の心の再生をみつめると同時に、母の限りない愛を描いた物語であると分かり、ふくよかな感動に包まれるはずだ。少年の軌跡がやがて人々をつなぐ温かい輪となるこの傑作、トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、監督スティーブン・ダルドリーと、映画界の才能が集結しているだけのことはある。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ミステリアス度:★★★★☆

□2011年 アメリカ映画 
□原題「EXTREMELY LOUD AND INCREDIBLY CLOSE」
□監督:スティーヴン・ダルドリー
□出演:トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン、他
チケットぴあ

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