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◆プチレビュー◆
劇中と現実の時間が同時進行する会話劇「おとなのけんか」。芸達者4人の競演が極限の緊張感を生みだす秀作。 【80点】

 NY。11歳の子供同士のけんかを解決するために双方の親、マイケルとペネロペのロングストリート夫妻と、アランとナンシーのカウワン夫妻がアパートの一室に集まる。どこにでもある子供のけんかということで、平和的に事を収めようとするが、冷静な会話は次第にエスカレートしていき、話し合いは白熱。両家の本音が露わになり、収拾のつかない事態になっていく…。

 本作は、世界中で数々の賞を受賞したヤスミナ・レザの大ヒット舞台の映画化だ。日本でも「大人は、かく戦えり」の題で舞台化されている。登場人物は4人、舞台はアパートの一室。密室での会話劇は、ポランスキーの長編デビュー作「水の中のナイフ」の緊張感を思い起こさせるが、今回は傑作舞台劇の映画化、有名俳優の起用、自身も巨匠として名声を手にしているからか、あえて舞台風の香りを残しながら余裕をもって演出している。演じるのは、フォスター、ウィンスレット、ヴァルツ、ライリーら芝居巧者たちだ。

 和解の話し合いは、最初は冷静だったが、やがて激しい諍いに発展。それを助長させるのが、アランにひっきりなしにかかってくる携帯電話だ。携帯が鳴るたびに見せ掛けの穏やかさが一枚、また一枚と剥ぎ取られていく演出はスリリングで上手い。やがて双方の親同士の言い争いから、長年たまっていた夫婦間のうっぷん、さらには男と女の言い分まで、これでもかといわんばかりに本性がむき出しになる。めまぐるしく“敵と味方”が入れ替わり、先読みできない面白さは天下一品だ。子供以上に未熟な親たちは、実は不満と不安でいっぱいなのである。

 何より、劇中の時間と現実の時間がリアルタイムで進行する演出が効果的で、観客は、この四つ巴のバトルをリングサイドで観戦しているかのような錯覚を覚えるだろう。79分間のマシンガンのようなトークの中に、結婚、仕事、子育てなど、あらゆる問題が凝縮されている。それぞれの主張とエゴが交錯したあげく、分かり合えない不毛のバトル。アパートの一室が、ついには国際社会の縮図に見えてくる。緊張感と臨場感、そしてすべてが終わった後の独特の開放感。濃密でスリリングな時間を共有できる秀作だ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ブラック・コメディ度:★★★★★

□2011年 仏・独・ポーランド合作映画 
□原題「CARNAGE」
□監督:ロマン・ポランスキー
□出演:ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツ、ジョン・C・ライリー、他
チケットぴあ

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